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犬や猫の尿石症は飲水量が減ることで起こる怖い病気!
- 2017年12月23日
- ペットの健康
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冬になると、乾燥のため知らず知らずのうちに体の水分量が失われていきます。また、寒さのために飲水量が減る傾向にありますが、それらは、人だけではなく犬や猫にも見られます。
犬や猫にとって飲水量が減ると、どんなことが起きるのでしょうか。実は、「尿石症」という怖い病気に発展することもあるのです。
尿石症とは?
尿石症(尿路結石・尿結石)とは、尿に含まれるタンパク質、リン、カルシウム、マグネシウム、尿酸などの尿成分が結晶化し、尿路である腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石化した固形物が詰まってしまう病気です。
結石の大きさは、さまざまで尿が出にくくなったり、血が混じったり、また、結石が大きくなると尿が出なくなることもあります。結石ができると、炎症や痛みを伴うため、頻尿になりやすくなります。
尿が出せない症状が続くと、尿毒症や膀胱破裂など、深刻な症状を併発することがあります。
尿石症になる原因は?
尿石症の原因はさまざまですが、冬になると飲水量が減ることや運動量の減少が挙げられます。
また、結石はミネラルの過剰摂取によって誘発されるので、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムが含まれているミネラルウォーターを犬や猫に常備水として与えないようにしましょう。
水分不足
飲水量が減ると、尿が濃縮されやすくなり、結晶ができやすい状態になってしまいます。
夏は、暑いため犬や猫は自ら水を多く飲みますが、冬になると家の暖かい部屋に長くいて運動量が減り、喉が乾かないため、水を飲む量が落ちます。また、空気が乾燥しているため、皮膚や粘膜から自覚がないまま体の水分が失われてしまうのです。
食べ物
愛情たっぷりの手作りごはんを与えることは、いいことだと思います。
しかし、その手作りごはんに、マグネシウムやカルシウム、リン酸、シュウ酸などがたくさん入っていませんか? これらは、結石が作られる成分です。例えば、ほうれん草は、少量であれば、とても健康にいい食べ物ですが、シュウ酸が多く含まれているので与えすぎないよう注意してください。です。
基本的には、尿中に含まれ体の外に排出されますが、尿中の濃度が高くなっている時には気を付けましょう。
感染症
猫では稀ですが、犬は細菌性の膀胱炎になることがあります。
膀胱炎になると炎症が起こり、尿pHがアルカリ性になったり、尿石の原因となるアンモニウムが増加したりして、結石ができやすくなります。
遺伝的要因
尿石症は、全猫種のオスがかかりやすい病気ではありますが、遺伝的要因が多くありません。しかし、犬は結石ができやすい犬種があります。
・ダルメシアン
・シーズー
・シュナウザー
・チワワ
・ヨークシャーテリア
・ダックスフンド
上記の犬種は特に結石ができやすいため、一緒に暮らしている方は飲水量や食事を気遣ってあげましょう。
尿石症の症状
どんなに気を付けていたとしても結石ができてしまうことがあります。
結石ができると犬や猫は、どんな症状を現れるのでしょうか? もしひとつでも当てはまる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
犬の場合
・トイレを失敗する
トイレではない場所、あるいは間に合わずトイレの手前でしてしまう。
・頻尿
1日にトイレに何度も行くが、少量しか排尿していない。あるいはしない。
・血尿
尿に血が混じっている。薄いピンク色になっている。
・尿の色が混濁している
尿の色が濁っている、朝でもないのに尿の色がとても濃い。
・尿の臭い
普段とは比べものにならないほど臭くなる。
・食欲がなくなり、元気がなくなる
食欲がなく、うずくまる姿勢をとることが増える。
猫の場合
・頻尿
1日にトイレに何度も行くが、少量しか排尿していない。もしくはしない。
・トイレをしている時間が長い
トイレに行くのになかなかトイレをせず、トイレ周辺をうろうろする。
・陰部を舐める
陰部を舐めたり、お腹周辺を気にしたりする素振りが多い。
・トイレで鳴く
トイレをしたいが、痛くて尿が出ないときに鳴くことがある。
・血尿
尿に血が混じっている。薄いピンク色になっている。
上記の行動が見られた場合
もし、猫が丸1日排尿していない場合は、急性腎不全となり、尿毒症を起こす危険性があります。様子を見ようとせず、すぐに動物病院で受診してください。
尿石症にならないために
・運動をさせる
猫の場合は、室内で猫じゃらしやレーザーなどを使用し、走り回る運動をさせるといいでしょう。
また、犬の場合は、散歩時間を増やしたり、家でもボールを投げたりするなど、運動不足にならないようにしましょう。
・飲水量を増やす
尿を薄めるために水をたくさん飲ませましょう。
運動した後であれば、水をたくさん飲みます。フードに水を入れることも有効ですし、猫は肉食なので水にお肉の茹で汁を混ぜると飲水量が増えるでしょう。また、水にヨーグルトを少量混ぜることで、水分を摂取しつつ、腸内環境を整えることにつながります。
・食事に気を付ける
良質なタンパク質やビタミンCをとることで、 尿石を予防しやすくなります。
普段のフードに鶏肉や青魚を与えることやメチオニンが豊富に含まれているタンパク質を摂取させることも尿結石の予防に効果があると言われています。
まとめ
冬こそ気を付けたい尿石症。寒くてもたくさん運動をして、ごはんを食べて、水を飲んで、元気に冬を乗り越えましょう。
尿石ができている場合は、様子がおかしかったり、痛くて機嫌が悪いことがあります。
「トイレの回数減ったかな?」「アレ、今日トイレしてないじゃない?」
毎日様子を見ているからこそわかるサインがあるはずです。そんなちょっとした気付きが大切ですよ♪
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