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カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気の傾向

カニンヘンダックスフンドは、「軟骨異栄養犬種」という軟骨に変性が起こりやすく、胴が長く足が短い体形のため、椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。「ダックスと言えば椎間板ヘルニア」というイメージをおもちの方は多いかもしれません。

このほか、人気犬種なので近親交配が進められた結果、進行性網膜萎縮症や角膜ジストロフィーといった遺伝性の病気になることもあります。また、耳が垂れていて耳の中の通気性が悪いため、外耳炎にもなりやすいので注意が必要です。

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気の概要と症状

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気、椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア

背骨はたくさんの小さな骨が並んでできており、椎間板は背骨と背骨の間にあります。椎間板は背骨同士が直接触れないようにクッションの役割を果たしているのですが、この椎間板が飛び出してしまい、背骨の上にある脊髄神経を圧迫してしまうことで神経症状が出るのが「椎間板ヘルニア」です。

椎間板ヘルニアには、突然発症する「ハンセンⅠ型」と、徐々に進行する「ハンセンⅡ型」があり、カニンヘンダックスフンドはハンセンⅠ型が多いとされています。

椎間板ヘルニアの症状は、圧迫の程度によってさまざまで、重症度によって5段階に分類されます。グレード1が一番軽く、圧迫部位の痛みが見られます。グレード2になると麻痺はありませんが、歩くときにふらつきがみられるようになります。グレード3以上になると麻痺が出てきますが、グレード3では自力での排尿が可能であり、浅部痛覚(足先の表面上の痛覚)は残っています。グレード4では浅部痛覚が消失、グレード5では深部痛覚(より強い刺激を加えた場合の痛覚)が消失します。

麻痺やふらつきがあればわかりやすいですが、グレード1では痛みだけなのでわかりにくいかもしれません。椎間板ヘルニアの痛みがあると、動かなくなる、立ち上がらなくなる、震えるなどの症状が見られます。

進行性網膜萎縮症

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気「進行性網膜萎縮症」「角膜ジストロフィー」

「進行性網膜萎縮症」とは、進行性に視力が低下していき、最終的には失明してしまう遺伝性の網膜疾患で、遺伝性網膜変性症や遺伝性網膜症と呼ばれることもあります。

網膜にある光を受容する部分に異常が起きることで網膜が徐々に萎縮していきます。カニンヘンダックスフンドの進行性網膜萎縮症は、早発型といって2歳未満で眼底に変化が出てくるタイプであることがわかっています。

角膜ジストロフィー

「角膜ジストロフィー」は、角膜に結晶状の混濁(何かが混じってにごる)が起こる病気のうち遺伝性があるとされているもので、カニンヘンダックスフンドは好発犬種です。両眼に症状が現れ、全身への影響がないという特徴があります。混濁の成分はコレステロールのような脂質です。眼の中央部に円型やドーナツ型の混濁がみられます。

涙が出たり眼をしばしばしたりするといった痛みを示す症状が出ることはなく、失明することもほとんどありません。

外耳炎

耳の入口から鼓膜までを外耳と呼び、そこに炎症が起きるのが「外耳炎」です。赤みや痒みが出ることが多く、重症化すると痛みが出ることもあります。

外耳炎になる原因としては、アレルギーや脂漏症といった体質のほか、耳の中の異物、外部寄生虫、甲状腺機能低下症のような内分泌疾患、免疫介在性疾患などがあります。

また、外耳炎になった結果、マラセチアや細菌の増殖が起こります。耳の中に耳垢が多いと、外耳炎は重症化します。カニンヘンダックスフンドにような耳が垂れた犬種では通気性が悪く、耳の中は高温多湿な状態になります。これは外耳炎発症のリスクをあげる要因になります。

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気の治療と予防

椎間板ヘルニアの予防と治療

カニンヘンダックスフンドは痩せていても椎間板ヘルニアになりやすい犬種ですが、肥満だとさらにリスクが高くなってしまうため、体重の管理には気をつけましょう。また、後ろ足だけで立ち上がるなど、腰に負担がかかる運動は避けた方がいいでしょう。

椎間板ヘルニアの治療には内科療法と外科療法があります。内科療法は安静にして、消炎鎮痛剤やサプリメントを投与します。内科治療への反応が悪かったり、最初から症状が重度だったりする場合には外科治療を考慮します。外科治療では脊髄神経を圧迫している椎間板を摘出します。

進行性網膜萎縮症の予防と治療

現在は進行性網膜萎縮症の発症を予防したり、進行を抑えたりする確立された方法はありません。

動物病院では抗酸化作用のあるサプリメントを使うことはありますが、それも確実に効果が見込めるわけではありません。治療法はないものの、進行性網膜萎縮症の症状は徐々に進行していくため、犬自身が見えない状況に適応しやすい病気です。おうちではストレスをかけないようにして、障害物がなるべくない環境を作ってあげましょう。

角膜ジストロフィーの予防と治療

進行性網膜萎縮症と同じく、現在はこの病気の発症を予防したり、進行を抑えたりする確立された方法はありません。混濁の成分は脂質であるため、フードは低脂肪食が推奨されます。

外耳炎の予防と治療

カニンヘンダックスがかかいやすい病気「外耳炎」の予防と治療
原因になる疾患のコントロールをきちんとすることが外耳炎の予防になり、治療としても重要です。

外耳炎になったら、耳の洗浄を行って耳の中をきれいにします。そして、点耳薬を使って炎症を抑えます。状態によっては内服薬を使うこともあります。

カニンヘンダックスフンドのかかりやすい病気のまとめ

カニンヘンダックスフンドがかかりやすい病気について解説しました。カニンヘンダックスフンドならではの胴が長く足が短い体形であることや遺伝性の病気は予防や治療ができないものが多いのですが、椎間板ヘルニアや外耳炎は日ごろのケアによって病気になるリスクを下げることができます。正しいケアの知識でペットの健康を守りましょう。

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