ティーカッププードルのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

ティーカッププードルのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

プードルは現在、FCI(国際畜犬連盟)の基準で、スタンダード、ミディアム、ミニ、トイの4サイズがあります。サイズが異なるだけで、基本的な性質や能力、被毛の色や質、体の構成と各部の特徴に違いがほぼありません。

ティーカッププードルは、トイプードルよりさらに小さいプードルとして、2000年過ぎにアメリカで作られるようになったと言われています。しかし、プードル本来のカテゴリーである猟犬や使役犬の役割を果たすと認められていないこと、サイズの矮小化による遺伝病の弊害が解決されていないことなどから、多くの国ではティーカッププードルを独立した犬種として認めておらず、トイプードルの中の規格外サイズとしての扱いに留めています。

今回は遺伝病を含め、ティーカッププードルのかかりやすい病気やケガ、それらの治療と予防法について解説します。

ティーカッププードルのかかりやすい病気の傾向

ティーカッププードルは、体を小さく作出しようとしたために、いくつかかかりやすい遺伝病があります。また、小型犬に多いと言われている骨関節疾患や皮膚疾患は多い傾向にあります。

ティーカッププードルのかかりやすい病気の概要と症状

ティーカッププードルのかかりやすい病気として膝蓋骨脱臼、けが骨折

骨折

体の小さなティーカッププードルは、骨も細くなっています。ちょっとした段差、例えば、イスやソファから飛び降りただけでも真っ先に着く前肢の骨が折れる可能性があるのです。骨折すると強い痛みが生じますので、患肢を地面に着けなくなります。また、触ろうとすると非常に嫌がります。

膝蓋骨脱臼

「膝蓋骨脱臼」は、小型犬に多い疾患のひとつで、ティーカッププードルにも多く見られる症状です。膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう状態で、先天的に発生しやすいと言われています。

膝蓋骨脱臼の主な症状は、膝の痛みによって足をかばって歩く、地面に足を着けなくなるといったものです。膝蓋骨の脱臼が長期にわたると、重度の関節炎や靭帯の損傷につながります。

レッグペルテス(無菌性大腿骨頭壊死症)

幼少期の炎症などによって、股関節の大腿骨頭に血液の供給がうまく行われないと、大腿骨頭が壊死してしまいます。これをレッグペルテス(無菌性大腿骨頭壊死症)と言います。強い痛みが生じますので、足を地面に着くことができなくなります。

外耳炎

ティーカッププードルは耳の周りだけでなく、耳の中にも毛が生えています。耳の通気性が悪くなると、菌などが繁殖して炎症、「外耳炎」が起こります。外耳炎になると、耳の痒みが引き起こされますので、ティーカッププードル自身にとって非常にストレスになります。

ティーカッププードルがかかりやすい病気、外耳炎、気管虚脱、クッシング症候群

気管虚脱

「気管虚脱」は、気管の軟骨が弱くなり、呼吸のたびに気管が潰れてしまう状態です。物理的な刺激により、咳が見られます。また、重度になると呼吸困難になり、血液中の酸素が不足し舌が青くなるチアノーゼが見られることもあります。

白内障

「白内障」は目のレンズである水晶体が白く濁ってしまい、視力の低下を招きます。犬における視力に評価は難しく、いつもより物にぶつかりやすくなる、散歩中に側溝にはまりやすくなるなどの症状が見られたら要注意です。

膀胱結石

「膀胱結石」は、尿を貯留する膀胱内に、さまざまな成分の結石ができる疾患です。結石は膀胱の粘膜を刺激して傷つけます。それによって血尿や頻尿といった症状が現れます。

また、膀胱内の結石が尿道に移動し、場合によっては尿道閉塞を引き起こします。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され発症する病気です。大量の水分摂取や腹部の膨満、よく食べているのに痩せてしまうなどが主な症状として挙げられます。症状が進行すると免疫力が低下してしまうため、感染症にかかりやすくなります。

ティーカッププードルのかかりやすい病気の予防と治療

骨折の予防と治療

骨折は飼育環境の見直しによって予防が可能です。対策としては、段差をなくす、床を滑りにくくするなどが挙げられます。

犬の骨折治療は内固定が基本となります。内固定とは、外科手術によって折れた骨にピンを挿入して連結固定することです。また、プレートを当て固定することもあります。術後は2週間ほど安静が必要となります。

膝蓋骨脱臼の予防と治療

膝蓋骨脱臼の予防は骨折と同様に、段差をなくす、床を滑りにくくするなどがあります。また、爪や足の裏の毛が伸びていると滑りやすくなるので、定期的に切ってあげましょう。

外科手術によって、膝蓋骨を外れにくくします。術後は2週間ほどの安静が必要です。

レッグペルテスの予防と治療

レッグペルテスの発症は原因不明のため、明確な予防法はありません。しかし、歩き方の異変などに早く気付けば、痛みに苦しむ期間は短く済みます。そのため、日ごろの観察が大切です。

治療は、症状が軽度の場合は、鎮痛剤や運動制限などの内科的治療を行います。しかし、多くが外科的治療となり、手術によって壊死した大腿骨頭を切除します。術後、痛みの管理を行いつつ、両足で筋肉量に差が出ないようにリハビリを行います。

外耳炎の予防と治療

耳の環境を清潔に保つことが外耳炎の予防になるので、定期的に耳掃除をしてください。家でのケアが困難なら、動物病院でプロに任せてもいいでしょう。

治療は、耳の洗浄と抗炎症薬の点耳によって行います。

気管虚脱の予防と治療

気管虚脱は、遺伝的に起こりやすい疾患なので、予防法はありません。気管の炎症がひどくなる前に発見することが大切です。

気管虚脱の治療方法としては、気管支拡張薬や抗菌薬を用いて、気管の炎症を軽減します。重度の場合は気管を広げる手術をすることもあります。

ティーカッププードルで気を付けたい目の病気、白内障

白内障の予防と治療

白内障は遺伝的な要因以外にも、代謝性の要因(糖尿病など)によっても白内障のリスクは高まります。そのため、予防方法としては肥満を避け、規則的な生活を心がけましょう。

また、白内障の根本的な治療は、手術で白濁した水晶体を除去し、眼内にレンズを挿入します。初期の白内障の場合は、進行を遅らせる点眼薬を用いることもあります。

膀胱結石の予防と治療

予防方法としては、尿のpHを適切に保つことによって結石の形成を抑制することができます。また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの過剰摂取も結石形成の一因になりますので、日ごろの食事に気を付けましょう。

結石の種類によっては、食事管理により結石を溶かすことができます。数が多すぎる、または、食事で溶けない結石の場合は、手術によって膀胱内から結石を取り除きます。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の予防と治療

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の予防方法については、残念ながらありません。元気や食欲の低下、多飲多尿が見られた場合は、かかりつけの動物病院を受診してください。

治療は、副腎皮質からのホルモン産生を抑制する薬剤を用います。また、副腎腫瘍の場合は外科的に切除します。

ティーカッププードルのかかりやすい病気のまとめ

上記以外の疾患にもかからないわけではありません。遺伝的な疾患の多いティーカッププードルですが、日ごろのケアや観察によって病気の早期発見は可能です。毎日の生活の中で、異常をすぐに発見できるようにしましょう。

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