
今回は、株式会社 共立商会代表取締役社長、小川泰男様のお話を伺いたいと思います。小川社長、本日はよろしくお願いいたします。まず初めに、貴社の主なペット事業を教えていただけますか?
ペット事業の内容
弊社のペット事業はもともと私の父が獣医であったのが始まりです。戦後間もない頃、動物用の医薬品が不足している中で、アメリカやドイツ等からそれらを輸入して、仲卸することで始めた企業でした。
最初からペットに関わる仕事だけをしていました。その後ワクチンや犬猫のノミとり粉なども取り入れた時期があります。そして現在は、犬猫を飼う際に義務化になっている「マイクロチップの輸入」が事業の柱となっています。
そのほかにも知育玩具といいますか、ペットと飼い主がコミュニケーションを取り、しつけをするためのおもちゃを販売するなど、「ペットと人の関わり」というのを、ずっとなりわいにしてきた会社ではあります。
― 現在主力である「マイクロチップ」を取り扱うようになるまでの過程についてお話しいただけますか?
もう20年近く前ですが、全米獣医師会の副会長をされているドクター・ミヤハラという方から、「今アメリカで、犬の登録管理をするためのマイクロチップというのがあるんだよ」ということを紹介を受けました。
犬は狂犬病(法定伝染病)の予防注射を必ず打たなければなりませんが、実際の頭数がどのくらいいるかが曖昧でした。そんなとき、犬にマイクロチップを埋め込んで個体識別するのだという情報を入手したわけです。現在日本にあるマイクロチップの提供企業、4社のうちの1社として弊社も関わらせていただいています。
― その時点でマイクロチップに関して、日本での法整備はされていましたか?
いえ、そのときはまだ全くでした。先代の社長と一緒に厚生労働省を訪問して、マイクロチップについてお話をさせていただいたときも、全く相手にしていただけない状態でした。その後、犬猫の終生飼育の頭数を把握するというよりも、捨て猫、捨て犬防止という観点から、マイクロチップで個体識別して、どの犬を誰が飼っているかを明確にしていこうという動きがあり、実現しました。弊社はそれより大分前からマイクロチップをやらせていただいております。
― マイクロチップは犬猫以外でも使用されているのですか?
「カミツキガメ」などの危険な特定外来生物を管理するために入れるというのが法律で決まっています。また、動物園の動物の個体を確認するのにも使われているようです。それから高級魚である「アロワナ」の個体識別のために入れているというのは聞いております。
― それは同じ犬猫と同じマイクロチップですか?
サイズは、大きいものでも米粒大ですが、それより小さいものも市場には出回っています。
― サイズによる違いは何かありますか?
まさにサイズだけです。注入する際の針の太さが変わるというくらいですね。リーダー(読取器)も同じものです。ただ、サイズが小さいと、アンテナ部分のサイズも小さくなるので、同じリーダーを使った場合に読み取り距離が若干違うということはありますが、ほとんど変わりません。
― マイクロチップを体内に入れることによって、動物の体調が悪くなったりということありませんか?
磁気を発するという性質上、MRI(磁気共鳴画像)を撮るときに干渉してしまい、その部位が読み取れないということはありますが、いわゆる副作用等もありませんし、体調がおかしくなるようなトラブルは、弊社の販売実績のなかではありません。
健康上の問題はないというのが前提で、なおかつ動物の管理がうまくできるようになるので、たまに電子カルテと連携させて、健康管理に使われたりする側面もございます。デメリットは極めて小さく、メリットは極めて大きいと理解いただければ幸いです。
社長になるまでの経緯
大学卒業後に父の起こした会社に入りました。父が大分年を取ったので、その時点で社長が交代しました。
― 小川社長が家業を継ごうと思われたきっかけはございますか?
動物のために働くというのは決して悪い仕事でありませんし、父がずっとやっていたので、自分も子供の頃から慣れ親しんでいたのもあります。学生時代にも商品の梱包などを手伝ったりしていましたし、仕事的には大体分かっていたというか、肌で感じるところはありました。
その当時、景気も悪くなかったので、社員がたくさんいて、会社にも勢いがありましたが、父がいろいろと苦労しているのを見ていたので、その手伝いができたらというのもありました。
― 先代社長様から次期社長を託されたとき、心構えというか準備は整っていましたか?
特に準備ということはしていませんでしたが、父と一緒に会社を大きくしてくれた社員がいたものの、若い社員というのはなかなかあまりいなかったので、父が年を取ってきたときに、「自分がやるしかないのかな」という感じはありました。
特に、弊社も輸入の産業をやらせていただいていますが、私は留学経験もあり、海外とのやりとりがスムーズに行くという点は大きいでしょう。
また、ペットなど動物に対する思い入れというところもすごくあります。幼少期から先代の仕事を見ていたり、家でペットをずっと飼ってきたということもあり、事業に対する関心がすごく高かったです。
人生を変えた経験
私はアメリカのカンザス州という、中西部の田舎で、非常に広大な土地と大らかな人たちがいるところにいたんですけども、そのときに「日本を外から見る」ということができました。
今から40年ぐらい前の話ですが、ちょっと今とは違う、まだ大らかな、本当に裕福な国だったアメリカで、日本社会を外から見られたという経験は大きかったと思います。
留学中、平等だとか自由だとか、そういうようなことを体験できたというのは、非常に大きい経験だったと思います。
経営者として大事にしているポイント
会社としては、ペットはペットオーナーの幸せのためにあり、ペットオーナーは、ペットがよりよく生活できるためにいるというふうなことを常に思っています。その原点を忘れないようにはしたいなと思ってはおります。
ただ、経営者として大事にしていることというのは、いろいろ経験してきた今言えるとしたら、本当に基本的なことだと思うんですけども、全ての、お客様もそうですし、それから会社に関わるステークホルダーもそうですけども、やはり「正直である」ということが一番大切なのかなとは思ってはいますね。
― 嘘偽りなく仕事に取り組めるといいますか、そのような人間関係が構築できる方というところですかね。
そうですね。ただ、こういう商売していると、いろいろ法律で決まっていることが多いんですけども、やはり法律に違反しないまでも、社内のルールを逸脱して利益追求に走ってしまう企業もなくはありません。
お客様に対しては、どうしても輸入のタイミングで商品が欠品してしまったり、納品が遅れるみたいなこともないわけではありませんが、そのときにも誠意を持って対応させていただいて、実情を説明してご理解をいただくとか、そういうことがやはり大切なのかなと思っています。私が今までいろいろ痛い目に遭った経験ですが(笑)。
― 今までもペット業界の経営者様にいろいろインタビューでさせていただきましたが、痛い目に遭われたという方が人数的に多かった印象です。
やはり業界自体が混沌としていた期間が長いんですよね。今でこそ上場会社の子会社さんとか、創業された方が上場するみたいな会社が出てきたりもしていますけども、やはり昔は犬、猫、小鳥といった生き物を扱う方々とやってきた業界なので、なかなか難しいというのが多かったと思います。今は本当にスマートな方がたくさんいますが。
一緒に働きたい人材
今は会社がちょっと縮小しており、従業員数は少数ですが、一緒に働きたい人材といえば、好奇心が旺盛で、自分でどんどんやっていく人というイメージですね。内向的で、指示されたことをするというよりかは、やっぱりどんどん自分で考えて自分でやっていくという人と働きたい部分はあります。もちろん言われたことを的確にこなせるというのはすごい才能で、大切なことなんですが、その中でも創意工夫を自分でできる人、どんどん自分で積極的にやっていく人と働きたいなとは思います。
― 現在の社員様は、「そういう方々」ということですね。
そうですね。うちのような古い会社だと、会社としての流れとして、今までやってきたことをずっとしていきたいということが多いですが、でもその中でも、新しいテクノロジーみたいなのを取り入れたり、新しい機械を導入して使いこなしていくとか、さっきのChatGPTなどもそうですが、そういったものに積極的に取り組んでいくということもしています。なかなかついていくのが大変な部分は、教えてもらっています。
今後のペット事業の展望
現在、マイクロチップが会社のベースになっているので、それに関する事業を進めていくというのはもちろんですが、一昨年からマイクロチップを、ペットだけではなくて競走馬用に販売をしたり、そういう新しい流れがあります。今は犬猫が義務化になっていますけども、今後予想されるのはウサギなどの小動物です。小鳥は一部もう入っていますし、そういうところへのマイクロチップとしての展開も考えています。
また、マイクロチップを扱うことによって、オークション会場さんですとか、犬や猫のブリーディングをされている方と接する機会が増えてきましたので、そういった方々に、何か商品を提供できるかを考えています。輸入品も含めて、現状の困りごとを解決できるような商品を展開したりということを考えております。
それから、前からやっている、ペットオーナーがペットと暮らすときに、よりよい生活ができるような、ちょっとしたものですかね。そういったものも広げていけたらなとは思っています。
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