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経営者取材

社長取材#16,ペッツオーライ株式会社 小早川斉

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PT編集部

業界全体を押し上げる—ペッツオーライ株式会社・小早川社長が語る事業と人生の哲学—
ペッツオーライ株式会社の小早川社長に、事業内容、創業のきっかけ、そして経営における独自の思想についてお話を伺いました。
常に業界全体を見据え、その成長を牽引しようとする社長の熱い思いが伝わるインタビューとなりました。

ペット事業の内容

― 御社のペット事業について、まず概要をお聞かせください。

弊社では主に2つの事業を展開しています。
1つは、弊社の社名にもなっているペッツオーライというサービスで、これは24時間365日、専門家に相談ができるオンライン相談サービスです。
世の中には電話相談などもありますが、飼い主さんが口頭で伝えるだけでは情報が正確に伝わらず、適切な対処法を専門家が回答するのが難しいという課題がありました。
そこで、私たちは現状を把握するための独自の問診票と症状動画を使い、質の高い回答を提供できるように工夫しています。
専門家側の伝え方やオペレーションフローを改善することで、回答の質を高いレベルで安定させ、素早い回答を実現する、高い満足度を維持しています。
この事業を約10年間続けてきました。

もう1つが、Wan!Passというアプリです。
これは、ワンちゃんと一緒にお出かけができる場所を見つけられるアプリですが、単なる情報提供に留まりません。
狂犬病やワクチンなどの証明書をデジタル化し、施設利用時の手続きを簡略化したり、施設側に新たなマーケティング機会を提供する世界を目指しています。
Wan!Passが集めたデジタルデータを通じて、どんな施設でも安心・安全にペットを受け入れられるインフラを構築したいと考えています。
Wan!Passはサービスを開始して以来、ユーザー数が順調に増加しており、現在では27万ユーザーに達しています。

最近では、富士急さんや西武ホールディングスさんといった大企業との連携も積極的に行っています。

社長になるまでの経緯

― 社長になるまでの経緯をお聞きしてもよろしいですか。

私は幼少期から社会の中で、ずれていたり、我慢している物事を改善し、社会を良くすることに自分の人生をかけようと思っていました。
25才でリフォーム会社で独立した際に自分の実力不足を痛感し、30才でリクルートに転職したのも、社会を変革するための方法や哲学を学ぼうと思ったからです。
入社後は、ゼクシィのディレクターをしながら上司にも恵まれ受賞経験も積みましたが、そんななか、一つのペインを発見したことから事業を構想し、とにかく走り続けたことでNewRingというリクルートの新規事業プログラムでグランプリを獲得し、ペッツオーライを事業化することができました。
そしてその後事業成長とともに、リクルートに直談判し、アイペットホールディングスへ事業を売却、子会社社長を経てMBOに至りました。

人生を変えた経験・出会い

― リクルート時代には新規事業コンテストでグランプリを獲得されていますが、そもそも起業や事業に対する考え方はどのように形成されたのでしょうか。

私の人生観や意思決定に一番影響を与えたのは、母だと思っています。
私が母に何かを相談すると『物事を多角的に見て考えなさい』と言われて育ちました。
その影響なのか、目の前の物事について、表面的な情報だけでなく、その裏には何があるのか、なぜこうなったのかを、癖で考えるようになりました。
また、小さい頃から思想や哲学についてもよく議論していました。
そんな会話の積み重ねから、自分が人生の中に何をするべきか。自分が人として生きていく理由は何か。といったことを小さい頃から自分の中で考えてきました。
そんな思想を深めていく中で、学生時代に自分が人生を与えられた意味として何か社会に変革を起こすことをする。お金を稼ぐということを目的にするわけではなく、誰もやっていなかったことをやる。と決めて今も自分の信念として持っています。

経営者として大事にしているポイント

― 大手企業との提携や事業展開が非常に柔軟で、独創的な印象を受けます。御社の経営における思想を教えてください。

多くのスタートアップ企業は、自社のサービスプラットフォームの中にすべてを収めてユーザーを囲い込むことを考えがちです。
しかし、私の思想は違います。ペット業界全体が良くなるには、一社が勝つことでは難しく、それぞれの企業の強みを活かして、スクラムを組む必要があると思っているからです。
だからこそ、私たちが成長するだけでなく、私たちの事業や行動によって、ペット業界全体の様々な領域がボトムアップして良くなることを目指しています。
つまり、我々が中心にいるのではなく、様々な事業者に我々のサービスが関連することで、それぞれの事業がアップデートされていくイメージです。
ITのトレンドを見ても、SlackやNotionのように、外部サービスと連携することでツール自体がアップデートされていくのが主流です。
自分たちだけが勝てばよいという閉じた世界を作るのではなく、業界全体がより良くなるように貢献していきたい。
そうすることで、結果として私たちも成長できると考えています。

一緒に働きたい人材

― 御社で一緒に働きたい人物像についてお聞かせください。

会社が目指す方向性について、自分の芯を持ちながら、それを真っ向から議論できる『生意気で本気な人』が理想です。
会社やリーダーが打ち出した方針であっても、それが本当に業界や世の中のためになるのかを問い、ディベートができる人。
組織が硬直化しないように、健全な内部破壊を起こせる人材が必要だと考えています。
また、忠実に仕事をこなす人ではなく、常に疑問を持てる人も重要です。
与えられた業務をこなすだけでなく、『これで本当に良いのだろうか』と立ち止まって問い、効率や改善を考えられる人です。

今後のペット事業の展望

― 今後の事業展望について、お聞かせください。

私たちのツールを他の企業がうまく活用し、新しいビジネスを立ち上げられるような世界を作りたいと考えています。
世の中にはGoogle Mapをハックして事業を興すように、我々のツールもインフラとしてオープンに活用してもらいたい。
Wan!Passのデジタル証明書などの機能を無償で提供し、ユーザーや企業に幅広く活用いただくことで業界全体の利便性が上がり、新しいビジネスが生まれてくる土壌を作っていきたいです。
また、個人的な活動として、日本ドッグラン協会の理事を務めるなど、業界全体が良くなるための活動にも積極的に参加しています。
そして私は、まだ大手上場企業1社の売上規模に過ぎない日本のペット市場(約1兆9,000億円)を3兆円マーケットにするという目標を、業界の皆さんと連携しながら実現していきたいと考えています。

私たちは、ペットを飼っていない人にも『犬がいても大丈夫』という安心感を与え、自然な形でペットを迎え入れられる人が増え、結果として業界が豊かになることを目指しています。

 

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