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経営者取材

社長取材#12, 株式会社NEXT NEW WORLD 髙嶋耕太郎

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PT編集部

今回は株式会社NEXT NEW WORLD 代表取締役CEO髙嶋耕太郎様を取材させて頂きます。髙嶋社長、本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、どのようなペット事業を行っているのでしょうか?

ペット事業の内容

ペット事業に関していえばシルクの研究開発をもとにペットの腎臓ケアのプロダクト開発・販売を展開しております。我々の会社はシルクの糸のたんぱく質の研究開発を国内外の研究機関や大学と行っており、国内ですと横浜市立大学さん・信州大学さん・近畿大学さん、海外ですとシンガポールのテマセク・ポリテクニック(Temasek Polytechnic)さんなどです。そこでの色々な研究結果から今最もフォーカスしている事業がペットの腎臓ケア商品『SILKFULL』です。我々の技術で開発したシルク原料『カラダシルク®』を飲むことによって腎臓をケアできるエビデンスを取得できましたので、猫ちゃん・わんちゃん用の腎臓ケアのサプリメントに落とし込んだ商品を展開しております。ありがたいことに『SILKFULL』は2024年1月の販売開始から1年間で100万食を達成しました。今後はサプリメントだけでなくペットフードなども展開していく予定です。

そもそもシルクを飲むという発想がなかったので驚きです!
シルク原料が腎臓にいいという研究結果はどのようにしてわかったのでしょうか?

我々の『カラダシルク』はシルクの糸を特殊な状態で水溶液化することに成功した原料を使っております。この水溶液とはシルクのたんぱく質が網目上の構造をして水の中に溶けている(正確に言うと分散)という状態なんですね。そのため、シルクの水溶液を飲むことによってシルクの網が胃と腸のゴミをからめとって体外に出してくれるという効果があります。具体的にはシルクのたんぱく質がアンモニアやコレステロールなどの腎臓に悪いものを吸着し、かつ難消化性である事から体内で溶けずに吸着させたまま外に排出されるという仕組みです。そこから「シルクの水溶液は腎臓にいいのではないか?」という仮説がたち、実際に猫ちゃんに接種してもらう事によって慢性腎臓病の数値がどんどん下がって健康になる事が実証されました。

社長になるまでの経緯

前々職はAmazonでバイイング部門・買取部門・大手企業様の出店におけるコンサルティング部門で各部長をやらせて頂き、3年で1000億をつくるようなプロジェクトの立ち上げにも関わりました。そこからなぜ転職するかといいますと、Amazonの中で自分の着地点が見えてしまったからです。「あと10年後にこういう状況になっているんだろうな」と。経営権をもって会社を動かしていく人材になりたかったので、自分の意志をもって会社運営に関わるべくTOKYOBASEに転職いたしました。

前職のTOKYOBASEはAmazonとは畑違いのアパレルでしたが「日本初を世界へ」というミッションを掲げて日本のブランドを世界にどんどん発信し、日本のファッション産業を守っている会社でした。Amazonにいた時から日本をもっと盛り上げたい気持ちもあり、まずはEコマースに特化して連結をしっかりと上げ、入社半年くらいで取締役にさせて頂き、一部上場も経験して最高時価総額は約700億円を達成いたしました。

そこから現在の会社(株式会社NEXT NEW WORLD)を立ち上げようと思ったキッカケはコロナ禍です。コロナ禍の初めてのリモートワークの時に愛してやまない子供が「パパお仕事なにやってるの?」と何度も聞いてくるんですよね。その時に「自分って何をやっているんだろうな」と考えさせられまして…。今後30年間仕事をしていく上で「何のために仕事をしていくか?」は一番大事な動機だと思いました。だからこそ「お金」ではなく「信念」を動機に仕事がしたいと。具体的にはGX(Green Transformation)という石油原料やケミカル原料を自然原料に代替していくというビジネスを立ち上げ、「パパは君たちが生きる地球を守るために仕事をしているんだよ」と心底言える仕事をしようと決意しました。前職を辞める時、「僕は地球を守るアベンジャーズになります」と会社全員の前で表明したほどです(笑)。

サラッとおっしゃられていますがすさまじいご経歴とご実績ですね…。
ちなみにシルクに携わる事業をしようと思われたキッカケはどのような事でしょうか?

前職がアパレルでしたので、前提として繊維の分野で考えておりました。独立する前にウール・綿・シルクなどの自然原料の研究者の方々と色々話した上で「やっぱりシルクが一番可能性がある」と思ったからです。具体的には当時シルクに関して3つの事がわかっていました。
1つめは世界を見ても日本が最もシルクタンパク質の研究開発が進んでいる事。
2つめは日本のシルク産業がなくなりかけている事。もともと戦前、世界一の輸出大国であり、200万件もあったシルクの農家が、今や160件まで減少してなくなりかけているんですよね。今でも天皇陛下の宮家の中でもシルク農家が営まれており、切っては切り離せない産業にも関わらずです。反対に海外に目を向けるとシルク産業は伸びていて、非常に生産量も増えているし使われ始めていました。
3つめはシルクを糸以外で使っているビジネスが全くなかった事。アメリカでも日本でも全然なかったんですよね。素晴らしい研究が日本で進んでおりシルクには大きな可能性があるにも関わらず全然ビジネス化されていませんでした。

この3点から、シルク産業への参入を決めました。ただし、現状を変えるためには新しい形でシルク産業を再興させないといけない。だからこそ自然原料でみんなが幸せになるような研究開発を行い、日本のシルク産業を盛り上げていきたいんです。そうすれば日本の教科書でも、日本のシルク産業を作った、今一万円札になっている渋沢栄一さんの横に、日本シルク産業を復活させた会社として載る可能性もあると思うんですよね!独立後はまずはサプライチェーンを知る為に第一次産業であるシルクの農家を始め、色んな研究者の方々と話して共同研究をしてくれる方や仲間を集めて現在に至ります。

飲むシルクという最先端かつ未開の市場を開拓していく事は非常に勇気がいることだったのではないでしょうか?

Spiber株式会社様というGXで大成功されている先駆者がおりましたので、僕も勇気をもって独立できたかなと思います。Spiber株式会社様は植物由来の人工タンパク質素材を開発して量産化に成功しておりますが、私はシルクのたんぱく質の水溶液化でビジネスを展開していこうと思っています。

人生を変えた経験

幼少期の母親との思い出と入社1年目の時に世界一周をした経験ですね。
私の母親はマザーテレサのような人でして。幼少期は土日になると毎週障害者さんのところに家族全員で行ってヘルパーをやっておりました。「一緒に遊びなさい」「障害者の方が困っていることがあったら手伝いなさい」と。あとは広島まで遠出して被爆者の方に会いに行って戦争や原爆の恐ろしさを学んだり、海外の恵まれない子達を助けに行くなど、パワフルに動く母親でした。同級生はサッカーや野球など楽しい事していたので、当時は嫌で嫌でしょうがなかったのですが…。

そうした幼少期を経て社会人になった時にふと幼少期の母親の姿が思いだされてきまして。「色んな世界を見ないといけないな」と思い立ち、貧困な国を30か国ほど回りました。そこで色んな方々と話して色んな文化を知り「彼女がやっていたことは間違いなかったんだな」と実感しました。入社1年目で3ヵ月もお休みを頂いた事は当時の社長に今でも感謝していますね。でもそこで母親と同じ方向には行かず「まずは自分が幸せにならないと他人なんて幸せにできない」と思い、お金を儲けるという事にコミットして働きました。そこから数年前にコロナ禍となって自分を見つめなおす機会があり、改めて母親との思い出や世界一周などがフラッシュバックしてきました。長い間お金を儲けるという事にもコミットしてきましたし、ここからは「自分たちの子供のために地球を守る」という信念をもって働いていこうと決意いたしました。

髙嶋家には代々他者のために行動するDNAが受け継がれているのですね!
そんな髙嶋社長が経営者として大事にされているポイントはどのような事でしょうか。

経営者として大事にしているポイント

芯をもって成長するという事です。GXという芯が弊社にはありますが、それだけでは自己満足になってしまうので、会社として成長しGXとして世の中にインパクトを出さないといけない。色んな方々から私の夢を信じてもらい、資金を投資頂いて赤字を掘りながらも成長させていくというスタートアップをやらせて頂いておりますので、助けてくれた方たちに恩返しできるような、イグジットをやりきる事がまずは大事だと思っています。それによって一緒に働いているスタッフ・株主様・お客様、そして最終的には地球も全てが幸せになれる事が弊社の一番の強みなので。芯をもって会社を成長させ、イグジットを必ずさせることを経営者として大事にしております。

一緒に働きたい人材

“いい奴”です。“いい奴”より一緒に働きたいと思う方はいないですね。かつ1つ突出した才能がある事、その才能を生かすために行動量について真面目である事の合計3つの要素があると理想です。とはいえ最も大事な要素は“いい奴”ですね。こういう時代ですが一緒にお酒を飲めたらなおいいですね(笑)。

ちなみに採用は今どのように行われているのでしょうか?

弊社は全員リファラル採用です。

ペット事業の展望

一般用と動物病院専用のプロダクトを分けながら、現在はEコマースよりもオフラインをとりにいく戦略で展開しています。

一般の方向けですと、現在は腎臓ケアのサプリメントを販売させて頂いておりますが、この横並びとなる製品も開発しています。腎臓ケアができるシルク原料の入ったペットフードやドリンクなどですね。そういった商品を開発してペットショップやトリミングサロンに販売していく予定です。
動物病院向けですと、本日記者会見させて頂いた『SILKFULL PRO』を日本最大の投薬卸のNPCグループ様と一緒に全国一万件の動物病院に対してアプローチをかけて販売させて頂きます。『SILKFULL PRO』は動物病院様専用に開発したより腎臓に効くプロダクトで、2025年3月から展開していく予定です。

これは猫ちゃんの飼い主様にとって非常に嬉しい話ですね。
国内は網羅されるとの事ですが、海外展開は見据えておられるのでしょうか?

ペット系の事業ではアメリカを主軸に海外展開していく予定です。アメリカで開催される世界最大のペット業界の展示会があるのですが、去年はリサーチで行きましたが、今年は今月に出店をします。2024年は数十店舗を回って店長さんやスタッフ、そのお客様にも話を聞いて、弊社のシルク腎臓ケアサプリが必ず売れると確信したポイントが3つありました。1つめは、ディープテック(科学的発見や革新的技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み)あるあるの先進的な開発力がある事。「シルクの糸を食べるなんて、お前らクレイジーで最高だな」と、アメリカの皆さんに賞賛頂きました。2つめは、日本と変わらずアメリカでも猫ちゃんの多くが腎臓病で亡くなってしまうという課題への認知がある事。3つめは、競合他社がいない事。数十店舗を回って、腎臓ケアのプロダクトを色々探しましたが全然ないんですね。厳密には1個だけはありましたが、パッケージでも値段でも勝てると思いました。

アメリカの皆様にも受け入れられていて手応え充分ですね!

充分です!アメリカではシルクたんぱく質を飲むという事は3年前に承認されたばかりですし、シルク原料のサプリや食品はアメリカにまだないので弊社がアメリカ初となる予定です。現在は日本とアメリカしか承認がおりていませんが、各国でシルクプロテインの承認をとり、その国初の腎臓ケアプロダクト開発をすすめていく予定です。丁度先月にシンガポールの承認が下り、いち早く海外マーケットとして展開をしていきます。

そもそもシルクが形によっては飲めることを知りませんでしたし、それが猫ちゃん・わんちゃんの健康につながる事は最先端かつ素晴らしい事業だと思いました!本日は貴重なお話をお聞かせ頂きまして誠にありがとうございました。

 

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