今回は「ペットフードはドギーマン♪」でおなじみドギーマンハヤシ株式会社 代表取締役社長 林雄一様を取材させて頂きます。林社長、本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、どのようなペット事業を行っているのでしょうか?創業時のお話なども教えて頂けますと幸いです!
ペット事業の内容(創業から現在までの歴史)
当社は1963年に現会長の林明雄が創業しまして今年で61年になります。
実はドギーマンハヤシ株式会社を創業する前は林明雄は金物を扱う会社でサラリーマンとして勤務していました。担当エリアの沖縄は1960年代当時まだアメリカ領でしたのでパスポートを持って沖縄に営業に行っていたそうです。そこで駐留しているアメリカ軍を対象にしたビジネスに従事する中で、大きなスーパーマーケットを見つけるんですね。そこではアメリカ軍のご家族が買い物に来ており、大きなドライフードが並んだペットフードの売場がスーパーマーケットの中にあったり、住宅エリアでは大きなペットが飼われている光景が広がっていました。
それを見た林明雄は「今は戦後で大変な時期やけど、日本もいずれこうなる」と一念発起して、ドギーマンハヤシ株式会社を立ち上げました。具体的な事業内容としては金物の仕事の経験を活かして、わんちゃんの首輪の鎖を日本で製造し、海外へ輸出しておりました。アメリカでお客様を探しては鎖を輸出し、ペットの首輪なども製造・輸出をしたりして会社がスタートしたんですね。なのでCMでは「ペットフードはドギーマン」と謳っておりますが、実は創業時はペット用品の会社でございました。
最初はペット用品を中心に展開しておりましたが、40年前くらいにヘルシージャーキーという商品を国内で販売し始めました。当時はまだ日本のマーケットにペットのおやつの市場がなく、手から手軽に与えられるペットフードの開発に至りました。やはり最初は色んな失敗をしましたが、「非常によく食べる」と徐々に認知されてお客様からのご支持を頂いてスナックのマーケットができあがっていきました。
その後、健康志向の高まりと小型犬人気の高まりから、牛肉から鶏肉中心の商品開発にうつりました。小型犬も食べやすいやわらかいおやつとしては「紗(さや)」という商品を今から30年くらい前に発売開始し、2024年現在もおかげさまで「紗(さや)」「絹紗(きぬさや)」などを販売しております。最近では「添加物を使わないような商品」をペットオーナー様が望まれているという事で気になる添加物は使わない・加えない「無添加良品」というシリーズを発売し始めましたし、デンタルケアにも会社として力を入れております。具体的には歯磨きが苦手なわんちゃん・猫ちゃん用に、おやつでありながらガムとしてデンタルケアができる商品に注力しております。
さらに最近は小動物のグッズ開発や昆虫の商品もやっていますよ。対象もわんちゃん・猫ちゃんだけでなく、うさぎさん・ハムスターちゃん・昆虫までの観賞魚以外のオールペットです。海外展開にも力を入れており中国・韓国・台湾・ベトナム・バングラデシュなどまで進出しております。
ペットタイムズ編集部(以下省略・マーカー部分参照):創業時ではわんちゃんの鎖の海外販売をされていた事はとても意外でした。海外販売から国内販売に方向転換をされたごキッカケは何だったのでしょうか?
沖縄で商売のタネを見つけて、大阪で製造したペット用品を輸出するところからスタートしましたが、当時は為替が固定制で1ドル360円と非常に儲かった時代だったんですね。それが変動相場制に変わりまして状況が変わったため方向転換致しました。日本ではなく韓国・中国で製造したものをアメリカが輸入するようになり、このままいけば会社として立ちゆかなくなるという事で、国内販売に目を向けたという次第です。
— ちなみに創業時は林社長ご自身のご年齢はおいくつだったのでしょうか?
僕が1965年生まれで創業が1963年ですので、実は生まれる前から会社はスタートしています。昔は長屋に住んでいまして、そこが職場兼住宅でした。木箱に入っているわんちゃんの鎖であるとか、わんちゃんのおやつになるガムの原料などが積み上げられたところで生活をしていた記憶はありますね…。あとはわんちゃんも猫ちゃんもハムスターちゃんも家にいましたから、幼少期からペットとペット用品に囲まれて育ちましたね。
社長になるまでの経緯
— 1992年7月にドギーマンハヤシ株式会社様にご入社されて、2009年に代表取締役社長にご就任されたという事ですが、どのような経緯で社長にご就任されたのでしょうか?
大学卒業後は商社に勤めました。自動車や冷蔵庫・洗濯機の鉄板を輸出する会社です。全然ペットとは関係ない仕事で、2年半ほどそこで仕事をして1992年にドギーマンハヤシ株式会社に入社致しました。最初は東京の営業の現場からスタートをして、その後大阪本社に戻ってプロモーション・開発・物流・東京エリアの責任者などを一通りを経験した後に、副社長に就任し営業責任者も担いまして2009年に社長に就任致しました。
— 現場の業務を全て網羅された上で社長にご就任なされたんですね。ちなみに新卒で商社にご入社されたキッカケは何だったのでしょうか?
貿易や英語を使う仕事に興味があり商社に入社致しました。実は両親にも私がどこに採用面接に行っているかは知らせておらず…(笑)。その商社は東京にありましたが、内定が出た際に「こういう会社に行く」「東京に勤務が決まったから」と、そんな具合でしたね。
— そこからドギーマンハヤシ株式会社様にご入社されたのはどのような経緯があったのでしょうか?
社会人2年目の1992年の正月に実家に帰省したんですね。その時にうちの会長(林明雄)から「4月で社会人2年になるなぁ。お前どうすんねん。」という話になりまして。「うちの若い社員も育ってきとるし、お前にその気がないんやったらわしはわしで考える。」と言われまして。そこで「半年待ってくれ。」と(笑)。僕も長男としていつかは会社に戻って貢献しないといけない想いがありましたから。商社では海外転勤の話も出ていましたが辞める決意をして当社に入社致しました。
— ドギーマンハヤシ株式会社様にご入社された当初はどうでしたか?
切り替えが大変でしたね。6月末まで商社で仕事をして、土日あたりで引っ越しをして、翌月7月初めからすぐに務め始めましたので。あとはやはり社長の息子とはいえみんながどう見ているかはわかりませんし(笑)。お客様のところに名刺を持って行っても「社長の息子か」と言われたりもしましたね。
— 社長の息子ならではの苦難があられたんですね…。ちなみにドギーマンハヤシ株式会社様にご入社後の一番の苦難は何でしょうか?
苦難はたくさんありましたね…。仕事って自分で全部できるわけじゃないじゃないですか?そういう意味では人に理解をして頂いて動いて頂いて、自分の想いを共有するメンバーを作っていく事が大変でした。今でこそ自分が採用した年下のメンバーばかりですが、入社当時は先輩ばかりでしたから。その中でいきなり仕事が始まり、同時に社長の息子という目でも見られる大変さはすごくありましたね。社長の息子だからえらそうにするわけにもいきませんし。謙虚に「全部教えてください!」という姿勢で働きました。今は各メンバーの性格もわかりますし、僕の言いたいこともわかってくれていますが、以前は自分の思い通りに人を動かせない苦労が数多くありましたね。
— そこからどうやって信頼を獲得されていかれたのでしょうか?
社内では謙虚に働きましたし、社外では例えば営業の場合はできる限り飛び込んでいきました。営業の若い人たちによく言うのですが、お客様でも[ウェルカムなお客様][優しいお客様][厳しいお客様]など色々いらっしゃいます。中でも[厳しいお客様]は自分だけではなく色んな人に厳しい。だからこそあえて(嫌やけど)飛び込んでいく。人は1回会った人より、3回5回とたくさん会った人への方が情が湧きますから。そういう事を僕も若い頃は頑張りましたし、若い人たちにアドバイスしています。「とにかくネタを探して会いに行け」と。これは営業だけではなくて、仕入にも同じことが言えますよね。密に打合せができている仕入先はいい情報をくれますし。そういった事をして私は信頼を獲得していきましたね。
— ちなみに日本の皆さんがご存知の“ドギーマンハヤシ”を継ぐプレッシャーは想像できないほど大きいかと思うのですが、林社長はその重圧をどう乗り越えたのでしょうか?また、同じような境遇の方も少ないと思うのですが、どのような人に悩みなどを打ち明けたりされましたか?
あえてあまり深く考えないようにしました。全部抱えて悩むのではなく、自分ができる事とできない事を分けて考える。自分のできる事は精一杯やらないといけませんが、自分のできない事はどれだけ頑張ってもできませんから。そこは分けて働こう、とある時はたと気づいてから少し肩の荷がおりましたね。
悩みについては自分と同じように父親を創業者にもつ同世代の集まりがありました。同じペット業界ではないのですが、そういうところで情報交換をして「自分だけやないなぁ」「一緒や一緒や!」と悩みや想いを共有していましたね(笑)。
— そのシーンとてもおもしろいですね(笑)。お悩みを共有できる場があったとは知りませんでした。続いてのご質問ですが、林社長の人生を変えた出会いなどはございますでしょうか?
人生を変えた出会い
いろいろな出会いはありましたが3人のわんちゃんとの出会いです。取材だからいい格好をして言っているわけではなく、本気でそう思っています。
子供の頃はポメラニアンやマルチーズなどの小型犬を飼っていまして、それはそれでかわいかったのですが「いつか家庭をもったらちょっと大きめのわんちゃんを飼いたいなぁ」と思っておりました。そこで2000年にボーダーコリーを飼いはじめたんです。当時は本社の1階と2階でペットショップを運営しておりましたので、店長に「ボーダーコリーを飼いたいから仕入れてくれ」とお願いしました。女の子をお願いしたのですが、店長が何を思ったのか「社長どうしましょう…男の子が来ました…もうペットショップに来ています…」と。そこで見に行きましたら可愛いんですよね(笑)。白と茶色の子で。ボーダーコリーというと白と黒が多いのですが「この子ええわぁ」と思い連れて帰りました。この子はとても賢かったですね…。飼い主さんの今思っている気持ちがわかるといいますか、子供たちも当時小さかったので遊び相手にもなってくれましたし、本当に家族の一員でした。仕事面でも「この子が喜ぶ商品を作ろう」と開発に熱がはいりましたし、セールストークでもこの子の話をしたりと結果的に非常に力になってくれました。悲しい事に2014年の夏に14歳と半年で亡くなってしまいましたが…。家内はこの子が亡くなった時間になると「お母さん頑張ってるよ」とお祈りを欠かしませんでしたし、1年間は新しいわんちゃんを迎え入れる事はしませんでしたね。
1年が経過したのちに迎えましたのが日本テリアという犬種の子です。最初に女の子がきまして、家内が多頭飼いをしたいと言うので2年後に男の子を迎えました。テリアなのでわがままでわがままで(笑)。子供も東京に行きましたので「思いきり甘やかして育てよう」という事で現在もこの子たち中心の生活をしています。家内は一緒に寝ていますしね。家内も「この子たちのためにいい商品を」と言いますし、買い物に行った際は消費者目線の家内の意見はとても参考になっていますね。
— 林家の貴重なわんちゃんのお話をありがとうございます!ちなみに3人のわんちゃんのお名前が気になります!
ボーダーコリーが「モーリー」で、日本テリアが「むめ」と「もち」です。家内が全員Mが付く名前がいいという事で決めました(笑)。
— みんなかわいい名前ですし、呼びやすい!林社長のプライベートでのわんちゃんとのふれあいを仕事に活かされている姿勢も非常に勉強になります。そんな林社長ですが、経営者様として大事にされているポイントはどのような事でしょうか?
経営者として大事にしているポイント
会社を運営する時に思っている事は「会社って誰のものだろう?」という問いです。当社には[ペットライフのよきパートナー]という企業理念がありますから「会社はペットとペットオーナーさんのもの」という事を常に考えて事業をしないといけない。あとは社員の皆様がいてくれて成り立っているので、社員とそのご家族が幸せになるような会社運営を常に心がけております。
事業の面で大事にしている事は[ペットや飼い主様の立場で物事を考える]です。デザインや技術へのこだわりも大切ですが、飼い主様の目線で物事を考えられるかが重要です。もっと言えば「飼い主様やペットのために」というのはおこがましいと思いますし「僕らが勝手に言って押し付けているだけではないか?」と自問自答しています。だからこそ自分の目線ではなく、飼い主様の目線に自分をもっていく事が重要です。
— 具体的に[飼い主様の目線に自分をもっていく]とはどういう事でしょうか?
例えばパッケージで考えてみても、机の上に置いて見てみると「すごくいいなぁ」と思いますが、実際に売場に並べて見てみると見え方が全く変わります。机の上では一つしか見えていませんが、売場ではいろんなメーカーさんの商品があるからですね。こだわってペットのためにいろいろな機能を商品につけても、そこに消費者の目線が考慮されていなければ売場に並んでも全然伝わらないんです。だからよくこの部屋(自社商品が売場さながらに陳列されているショールーム。※1・2枚目の写真のお部屋)に来てデザインした商品がどう見えるかを確認しております。色んな商品が並んでいるところに、ポッとその商品が入った時にどう見えるか?商品の色やサイズ感は適切か?そういう事を「消費者の目線になってしっかりやっていこう」という話をしていますし、僕自身もそういう感覚を失わないようにしないといけないと思っております。
— 飼い主様の目線に徹底的にこだわっておられるからこそ、61年間も“ペットライフのよきパートナー”を体現し続けられているという事なのですね…。非常に勉強になります!
失敗もありましたけどね。パッケージデザインの写真の光の当て方がよくなかったりなど。だから商品によっては発売後の早い段階でデザインを変える事もあります。費用はかかりますがお客様はパッケージを見てご判断されますので、衣装が綺麗でないと見て買って頂けませんから。中身の商品がいくらいいものでも衣装をしっかり着せてあげないといけない。当社にはグラフィックデザイナーもコピーライターもおりますが、彼ら彼女たちが頑張って考えてやってくれております。
あとは創業時から[業界初]にこだわり続けており、現在もそのDNAは脈々と受け継がれています。先程申し上げたヘルシージャーキーはペット業界初の商品ですし、最近では中身の商品が見えないパッケージでの商品販売もしております。こう申しますのも昔は中身が見えないパッケージを我々はタブーにしておりました。「中身が見えないものは売れない」と。しかし最近は写真をしっかり写すことでお客様に商品の良さがより伝わる事がわかりました。もちろん商品に応じて中身が見えるパッケージで販売しているものもありますが、そういう新しい事に挑み続けております。
— 御社は本当に多くの商品を世に出されておりますし、そこには挑戦し続ける姿勢が受け継がれていたからなのですね。ちなみに幾多ある商品の開発はどのように行われているのでしょうか?
商品開発の裏側
(1)アレルグッバイ
例えばこちらの商品は『アレルグッバイ』といいまして2024年春に発売致しました。ペットを飼われている方の中にも花粉やダニのフン・死骸などのハウスダストや、ペットの被毛・フケなどのアニマルダストを気にされている方もいらっしゃると思います。この商品をスプレーして頂きますと、そんな気になるアレル物質を無力化するんです。例えばソファーのところにかけて頂いて、そこにアレル物質とされるペットの被毛などがついていれば、それに作用して無力化するという仕組みです。最近はハウスダウトやアニマルダスト対策商品への需要が高まっている事を感じます。例えば幼稚園によってはペットを飼われているご家庭へ「コロコロでお子様の洋服についたペットの毛をとってきてください」などのお願いがあるみたいですし。
とはいえ当社はペットのメーカーですので「アレルグッバイって大丈夫か?」などと言いながらでした (笑)。開発メンバーとしましては当社が取引させて頂いている製薬会社様と、当社の獣医と開発の若い社員たちです。「一回やってみよう」ということでこちらの商品が生まれ、おかげさまでバイヤーさん達にも「着眼点が面白い」と言って扱って頂き人気が出始めております。
— ペットを飼っていない方への配慮ができる商品をペットの会社が販売している事は素晴らしい事ですね。この商品を通じてよりペットへの理解が社会全体で深まると感じました。
ありがとうございます。少しずつ人気が出てきているので来年も引き続き力を入れていく予定です。あとはこちらの商品も面白いですよ。こちらは何だと思いますか?実は猫の歯ブラシなんですよ。
— 歯ブラシとは全く想像がつきませんでした!!
こちらの商品、元は歯ブラシではなく普通のおもちゃだったんです。僕のデスクの隣に打合せ用のテーブルがあるので、そこでこのおもちゃを見ながら打合せをしていたんですね。その時に開発担当がこのおもちゃで遊んでいる猫ちゃんの動画を見せてくれまして。見ていると、猫ちゃんがこのおもちゃを捕まえてガジガジ噛み始めたんです。それを見たときに「このおもちゃ、歯ブラシがわりになっていないか?」という事で、すぐに当社の獣医に確認をとりました。そのような事を経て、遊びながら歯磨きができる猫ちゃん歯ブラシとして発売に至ったわけです。昨日の京都の展示会でもお客様から「これいつも買ってるから今日も買って帰るね」とありがたいお言葉を頂いたり、まだ知らないお客様には商品のご説明をさせて頂くと「そんないい商品があったの?」という反応を頂いたりと非常にご好評を頂いております。
とはいえこの歯ブラシで遊ばない猫ちゃんもいるんですね。その場合はデンタルのおやつ『猫ちゃんホワイデント ごほうび歯磨き ささみ』などを『かみかみ歯ピカ』の中に入れて頂くと猫ちゃんがガジガジし始めます。
— ちなみに先程おっしゃられた林社長のデスクの横に打合せの机があるというのはどういう事でしょうか?
社長室はあるのですが僕は社長室で仕事をしていないんです。みんなと同じフロアで働いております。そこの僕の席の横に3人くらいがかけられるようなテーブルを置いております。なので社員が「ちょっといいですか?」と打合せにきましたら、僕も椅子を横にするだけですぐ打合せができるようにしているんです。そこで「あーでもない、こーでもない」とやっていますね(笑)。展示会も色々やっておりますので「今度の展示会のテーマはこういうのでやりましょか」などですね。僕もコロナの時は社長室にこもっておりましたが、情報もあまり入ってこない状態でよくないと思いみんなと同じフロアに戻りました。今は目の前で誰かが話していたらちゃんとわかりますよ。
— ドギーマンハヤシ様ほどの大企業となると勝手に社長室のイメージがありましたので意外でした。そういった風通しのよさが社員の方の働きやすさにもつながり、それが飼い主様目線の商品につながっているのですね。
ありがとうございます。あとは、当社はペットの健康寿命を伸ばしていく事に力を入れています。ここ数年わんちゃん猫ちゃんの数は増えていないんですね。だからといってメーカーとしてペットの数を増やす活動はできない。では我々に何ができるか?そう考えた時に[ペットの寿命が伸びたらペット数の減少に歯止めがきく]という事にいきつきました。そこからペットの健康寿命を延伸しようという事でデンタルやオーラルケアに力を入れております。ただ単に売ってるだけではマーケットは大きくならないですからね。
あとはこの商品も面白いですよ。何だかかわかりますか?
— …
これはうさぎのお尻なんです。『うさけつボール』という商品です。
— ネーミングセンスが非常におもしろいですね(笑)。こちらはどのような商品なのでしょうか?
(3)たれ耳ちゃんのうさけつボール/たち耳ちゃんのうさけつボール
うさぎさんに関しては今まで我々が小動物のマーケットに参入する前は本当に一般的な用品しかありませんでした。我々はわんちゃん猫ちゃんの健康増進につながるおもちゃを開発してきましたし、その知見をうさぎさんにも活かせないかと考えていたんです。そこで最近のうさぎさんのオーナーさんたちはSNSをされている方が多いのですが、うちのデザイナーが皆さんの投稿を見ていたら、うさぎさんの背中のお写真が非常に多い事に気づきました。そのデザイナーと一緒にうさぎさんの展示会に行った際も、やはりそういう背中の展示が多いんですね。そこで「これおもちゃにならんか?」と言ったところ、開発部が「こんなん作りました」と(笑)。発売後はお客様にはこの商品をうさぎさんの背中と一緒に並べてSNSに投稿して頂いて楽しんで頂いたりしています。うさぎさんもこの商品には尻尾がついてるのでそれを面白がってコロコロ転がしてくれていますしね。HPにも載せていますがこれを与えると転がすんですよ。やはりうさぎさんに関しても楽しんで運動してもらう事で健康寿命を延ばしていきたいと考えています。結局彼らも野生の生き物なので体を動かす事はすごく大事ですし。とはいえうさぎさんを外で散歩させるのは少し怖いので、部屋の中で散歩をしてもらう目的も開発の背景にはあります。小動物部門の部長はお散歩ならぬ「部屋ん歩(へやんぽ)」と言っていますが(笑)。
— うさぎさんもおもちゃで遊ぶとは驚きです!確かにうさぎのおもちゃはあまり見かけない印象ですし、うさぎさんの飼い主様にとっては非常にうれしい商品ですね。楽しく遊んでもらって健康寿命を延ばしていくというペット事業の展望も素晴らしいですね。
ありがとうごいます。先程も申し上げましたがペットの数をメーカーとして増やしていく事は難しいですが、デンタルや運動のおもちゃを開発して新しい行為を増やしていく事が私たちメーカーにできることだと思っております。だからこそおもちゃに付加価値や目的をつけることで「あのおもちゃを買おう」「このおもちゃを買おう」と思って頂けると考えています。
あとはマイナスな部分ですと飼育放棄が問題になっていますよね。でも会社のみんなと話している事は「ペットと過ごす時間を持っているオーナーさんはペットを手放さない」です。だからメーカーとしてペットと関わる時間を増やしてあげる事で飼育放棄をなくしていきたい。そういった想いでも商品開発をしております。「もっと飼い主様とペットが一緒に楽しめる新しい行為はないか?」という事は常に考えていますし、まだまだ新しい切り口はあると思います。
— ドギーマンハヤシ株式会社様が商品開発を通じて業界や社会全体の課題解決に注力されている事はこの取材を通してひしひしと感じました。そんな林社長が一緒に働きたい人材はどのような方なのでしょうか?
一緒に働きたい人材
新卒の話にはなりますが、何かを語る事ができる人です。今は内定式も終えて採用も一段落しましたが、僕は面接で厳しい話はしません。学生さんには「約20年間生きてきて何か語れることがあるか?」をお聞きするんですね。クラブ活動でも趣味でもアルバイトでも何でもいいんです。それについて語れるくらい経験をしてきているか。何かを語れる人は、仕事においてもスイッチが入ると頑張れる人じゃないですか?流されてやってきたのではなくて、意志をもって取り組んできた事を面接で感じられる人は将来が楽しみです。おっとりされていても会話の中に「こういうことで苦労してきたんやな」「こういう事で一生懸命やってきたんやな」などとわかりましたら、我々としては一緒に仕事をしたい人材ですね。あとは人の気持ちがわかる人です。これはどこの会社様でも同じだと思いますが、我々はチームプレーでやっていますから。
— 「ペットが好き」というところはいかがでしょうか?
もちろんね、もちろんそれは大事ですね(笑)!大体当社に応募される方は「昔飼ってました」「今飼ってます」「実家で飼ってます」など、何らかのペットと関係している方がほとんどですよね。と申しますのも例えば商談をする際にもペットを飼っているほうがプラスに働くからです。僕も自分のペットを見ながら「こういう食べ方をするのか」「こういう遊び方をするのか」という学びを商談の中に活かしますし。そういった意味では、オフィス内でわんちゃん猫ちゃんも飼っているんですよ。健康管理も獣医の社員2人体制で行っております。
— ちなみに採用は海外の方も対象でしょうか?
対象です。当社には海外出身の社員も多く、アジアを中心に中国・韓国・インドネシア・バングラデシュ・ベトナムなどいろんな国籍の社員がおります。そのため大阪にある独身寮では色んな国籍の社員が生活しております。当然、寮ではペットも飼育可ですし、会社としても頭数に応じてペット手当を出しております。中にはお昼にペットのお世話をしに寮に戻り、また会社に戻ってくる社員もいますよ(笑)。先日もペットを飼っている海外部門の社員から「出張の間に預けているペットのホテル手当が欲しい」という話が出ましたので「それはペットの会社として必要やな」という事で“ペットの出張費”も採用したところです。
— 林社長と社員の方の距離の近さを感じますね!もっといろいろなお話を聞きたかったのですが、お時間となってしまいました。本日はご多忙の中、大変貴重なお時間を頂きましてありがとうございました!
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