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経営者取材

ペット業界社長インタビュー #4, 株式会社カラーズ 伊東竜太

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PT編集部

今回は「GREEN DOG & CAT」「yum yum yum!(ヤムヤムヤム)」などで有名な株式会社カラーズの伊東竜太代表取締役社長を取材させて頂きます。伊東社長、本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、どのようなペット事業を行っているのでしょうか?

どのようなペット事業を行っているか

弊社は主に【GREEN DOG & CAT】というブランド名で小売業をやっております。具体的にはわんちゃんねこちゃんのプレミアムフードの販売とグルーミングサービスを提供しており、チャネルの方は関東と関西に合計11店舗ございます。あとは通販事業も展開しています。

弊社の特徴としては、店舗や電話の相談窓口にて【ペットフーディスト】という資格を持ったスタッフがペットフードに関するお悩みやご相談にお応えしている点です。このペットフーディストですが、簡単に言えばペットフードの専門家、食の専門家という位置づけです。このフードのカウンセリングに特化したサービスは【ごはんの窓口by GREEN DOG & CAT】という店舗で展開しており、場所は松屋銀座店パルコヤ上野店などです。ペットフーディストが飼い主様に対して「このペットフードで大丈夫!」という安心感・納得感を得られるようなご提案をさせていただき、おかげさまで24年間続けてこられました。

あとはグルーミングのサービスでもカウンセリングを行っております。私たちは創業以来、犬にかかる負担を軽減する「ホリスティック・グルーミング」を行っています。シャンプーやカットをしてわんちゃんを綺麗にするだけではなく、わんちゃんの健康や皮膚の状態を事前にヒアリングしてその時々に合ったホリスティック・グルーミングサービスを提供しております。2023年に立ち上げたサロン特化型の【GREEN DOG SALON ILOR】では、1頭1頭に最適なケアをご提案するために豊富なメニューやオプションを用意しています。場所は、麻布台ヒルズ店と、先月オープンしたグラングリーン大阪店です。

ペットタイムズ編集部(以下省略・マーカー部分参照):どの店舗も非常に発信力の強い場所にあり、凄まじい開拓力ですね。ちなみにペットフード業界で【ペットフーディスト】さんがペットフードを販売しているお店は非常に珍しいと思いますが、どういった経緯があるんですか?

実は5年くらい前にグループ会社である株式会社カラーズ・エデュケーションが【ペットフーディスト】の資格を立ち上げました。理由としては、ペット業界には「医療は獣医」「トレーニングはトレーナー」「グルーミングはグルーマー」のように各分野にプロがいる事に対して“ペットフードを相談するプロ”っていないよねって。でもお客様にとっては価値のある存在だよねっていうので、職業として講座を立ち上げて資格化しました。この考えに共感して頂けるお店さんとかは実際に講座を受けて頂いて【ペットフーディスト】の資格をとっていただいております。

飼い主様からしてみれば色んなペットフードがある中で「正直何を選んでいいのかわからない…」「ペットフードを食べてくれない」「健康状態によって何をあげたらいいかわからない」などお悩みは様々かと思います。だからこそ、そこに対応できる職業として【ペットフーディスト】という職業があるべきだと至りました。

— わんちゃんねこちゃんに合ったペットフードを専門家にご提案して頂けるのはとても心強いですね。ちなみに【ペットフーディスト】さんは全国で何名くらいいらっしゃるんですか?

現在は全国で約1,500名(2024年10月実績)ですね。まだまだ道半ばではありますが、専門学校生が授業の一環として【ペットフーディスト】の講座を受けて頂いたりしております。

— ペットフードに関する正しい食の知識が広まる事はとてもいい事ですね。あとは保護犬の活動も頻繁にされているとお聞きしました!

そうですね。保護犬・保護猫団体の方と一緒になって【GREEN DOG & CAT】の店舗を使っての譲渡活動にも力を入れています。実際にGREEN DOG & CAT湘南店では保護犬譲渡センターを併設して積極的に譲渡活動をにやっておりますし、定期的に神戸本店代官山店でも譲渡活動を行っております。

— わんちゃんねこちゃんの社会課題に全社的に取り組まれている姿勢は素晴らしいですね。そんな伊東社長ですがどのような経緯で社長になられたのでしょうか?

ペットフード ドッグフード ヤムヤムヤム 株式会社カラーズ

社長になるまでの経緯

順を追ってご説明しますと私は1995年に大学を卒業してユニ・チャーム株式会社に入社致しました。ユニ・チャームにはいくつかの事業部があるんですけど、その中でペット事業部に配属になりまして。実はそこから今日までずっとペット業界にお世話になっているんです(笑)。ユニ・チャームでは最初の5年間は関西で営業に従事して、その後東京に戻ってから約20年間マーケティングの部門で働きました。マーケティングの部門ではいろいろなブランドを担当し、企画を立ててその商品を育てるというところまでやっていましたね。そこから2017年にご縁があって現在の株式会社カラーズに入社致しました。入社後は今までの経験を活かしてカラーズのプライベートブランドの導入や育成に携わり、商品責任者としてやってきました。その後、2年前からカラーズの代表を務めている次第です。

— 前職があのユニ・チャームさんとは驚きでした!ペットフード業界ではカラーズ様の商品『yum yum yum!』は有名ですし、そちらを軌道にのせ続けておられる手腕はさすがですね…。

本当に社員に助けてもらってというところですね。一緒に働いていてくれている社員には本当に感謝していますね。

—(なんていい社長なのだろう…)続いてのご質問ですが、伊東社長の人生を変えたご経験はどのようなものでしょうか?

人生を変えた経験

先程の経歴でもお話ししましたが、ユニ・チャームで担当したマーケティング部門での経験が非常に大きいです。実はメーカーにおけるマーケティング部門って自分ではアウトプットできないんですよ何も。モノを創るのは開発で、モノを売るのは営業で、モノを作るのは製造で、モノを売れるような販促プロモーションを考えるのは広告代理店で…というようにメーカーのマーケティングはいわゆるコーディネーター的な役割なんですね。で、当時20代の私が他の部門に働きかけるとなると、他部署の4~50代の怖い部長さんなどに納得してもらわなければいけない (笑)。そのためにはビジネスの全体像を把握しなければいけないですし、全体を俯瞰して物事を動かすっていうのはすごくいい経験をさせてもらったと思います。強制的に視座を上げざるを得なかった経験はすごくいい学びでした。

— それはまさに人生を変えたご経験ですね…。入社5年目にしてマーケティング部門に入られて、目上の方が多くいらっしゃる中でディレクションしていく事は非常に難しいと思うのですが、コツはありますか?

僕が学んだのは2つあって。理論と熱意。この掛け算です。でもこれには順番があります。最初は理論・理屈・ロジックが組み立っていないと話は聞いてもらえないんですよね。熱意だけじゃ「夢ばかり語ってんじゃねえ」と(笑)。まずは「そうだよね」って思わせる論理的なものを作り上げていかなければいけなくて。でも、理論だけじゃ「そうだよね」で終わっちゃうんですよ。そこに熱をどれだけ加えることができるか。熱意があると聞いてる方も「確かにそうだよね」から「お前の熱意はわかった。じゃぁやろう」という形になる。僕は若い時は理論だけで物事は進むと思ってたんですよ。でもある時に理論だけでは本当の協力を得られないなと思って。理論だけでは協力者たちのポテンシャルを発揮してもらうことができないんですね。何かを伝えるときは今も理論に自分の想いや熱意をこめて伝える事は意識しています。

あとは人生を変えた本でいうと京セラの創業者である稲盛和夫さんの『生き方』です。僕は稲盛さんを尊敬していまして、稲盛さんの本は定期的に読むようにしています。『生き方』には稲盛さんの経営に対する姿勢、思想、哲学が記述されています。内容を端的に言うと「経営をそんな難しく考えずに、何か意思決定をする時には人として正しい判断をしなさい」というものです。もう少し具体的に言うと「利他の心をもって経営にあたりなさい」という内容で、自分のことだけを考えるんじゃなくて周りの仲間の事を考えながら、仲間がいい方向にいくためにはどうすればいいんだろうか?っていう視点で経営をやってくださいっていう話です。確かに利他的な考えを持つと視野が広くなって客観的に物事を見ることができるのかなと思っています。いや、できているとは別ですが(笑)。この精神を持つことを目指しています僕は。

— 先ほど伊東社長がポロっとおっしゃられた「社員に感謝している」というお言葉は利他のお考え方が根本にあられての事だと感じました。ちなみにユニ・チャーム時代はどのような商品に携わっておられたのですか?

結構いろんな商品をやっていて。犬フードもやりましたし、猫フードもやりましたし、シーツとかトイレタリー用品もやりました。いろいろ経験しましたね(笑)。

— 幅広く携わっておられるんですね…すごい!続いてのご質問ですが伊東社長が経営者として大事にされているポイントは何でしょうか?

株式会社カラーズ 社長

経営者として大事にしているポイント

よく経営資源でヒト・モノ・カネとかっていうじゃないですか。でもやっぱり「人」だなって思っています。モノやカネを扱うのは当然「人」だっていうところと、僕がすごく思うのは「人」っていう資源は働きかけによっては何倍にもなると思うんですね。逆に働きかけを間違えるとマイナスにもなりますし。1つの働きかけによって「人」という経営資源が増えたり減ったりする事はマネジメントで一番大切なことだと思っています。だからこそ経営資源の「人」を大切にしてこれからも経営をしていきたい。

あとは実務的なところでいうとスピードです。これだけ世の中が大きく動いている中でスピードをもって行動する事は重要だと思っていて。弊社の行動指針にも1年前くらいに「スピード実行」をあえて明文化しています。イメージとしては「6割7割いけるぞ」って思ったら実行です。これ社員にもよく言うんですけど「初めてやることなんて成功する確率なんて低いんだ」と。「失敗を重ねて成功があるんだ」という事をよく言うんですね。失敗というプロセスを経て初めて成功があるという事なんで。どんどん早く動いて失敗をして、そこからたくさんの事を学んで次のアクションにつなげて成功を掴んでほしいです。まずは色々考えるよりも「これなんとなくいけるな」っていう感覚があればすぐ動く。その反面、失敗をとがめる事は絶対にしてはいけないと思っていて、重要なのは失敗から何を学ぶかっていう事だと思っています。何もやらないことが最大のリスクですからね。

— 働きかけや接し方によって相手のポテンシャルの量が増減する事はマネジメントをする立場に関係なく誰でも日常で意識しておきたい考え方だと思いました。そんな伊東社長が一緒に働きたい人はどのような方でしょうか?

どのような人材と一緒に働いていきたいか?

僕自身、人生を豊かにするためには成長が大切な栄養源だと思うんですね。その意味では一緒に働く仲間には成長意欲を持っていてほしいです。それがあると仕事に対してすごく前向きにとらえることができますし。仕事ってほとんどうまくいく事ってないじゃないですか?目の前にいろいろな壁が立ちはだかるわけなので。成長意欲がないと壁を乗り越えられないし、結果的に成果もついてこなくて成長もできないことになるんで…。僕は成長意欲は絶対持ってほしいと思っています。

もう一つは当たり前の事ですが、一緒に働く仲間に対して感謝の気持ちや思いやりを常に持ってもらいたいです。というのも個人の仕事にも誇りや自信はもってほしいんですけど、一方で「1人でできる事は限られている」という謙虚な気持ちも持ってほしい。結局人1人でできる事なんて小さいものなので、チームとしてしっかりアウトプットすることによってお客様に価値のあるものが提供できると思ってます。そのためにはお互いがお互いを思いやって感謝の気持ちを持つことがすごく大事ですし、人として思いやりを大切にしてほしいですね。

— 伊東社長は人の気持ちについて突き詰めて考えられているのですね。感謝の部分でいうとささいな「ありがとう」の一言がどれだけ大事かというところはありますよね。

そうですね。僕自身も常にできているかっていうと「まだまだだな」という部分もあるんですけど、感謝の気持ちだとか、謙虚な姿勢であるとか、素直な心であるとか。そういった心を常に持つことによって、いいチームっていうものが作り上げていけると思っています。さっきの経営資源の「人」の話ではないですけど、そういった文化や空気感ができると、やっぱり人って「頑張ろう」という気持ちになって、人という経営資源がすごく大きくなっていくと思いますので。

— 社会人5年目から周囲を巻き込んで仕事をされ続けている伊東社長だからこその境地ですね…。ありがとうございます。最後の質問になりますが、伊東社長が思われる今後のペット事業の展望とはどのようなものでしょうか?

ペット事業の展望

弊社の強みの1つは先ほど申し上げたカウンセリングです。この強みにさらに磨きをかけていきます。【ペットフーディスト】によるカウンセリングによって、飼い主様により正しい情報を提供し、パートナーである犬猫を正しく理解して接することができるようになる。それによって犬や猫自身もしっかりと飼い主様と向き合う事ができて、ペットとの絆が太くなっていく。こういう事を繰り返すことで、日本の社会において「犬っていいよね」「猫っていいよね」というペットのプレゼンスを上げることに貢献したいです。やっぱり日本の場合、海外と比べてどうしても様々な場面でフラストレーションがたまるところがあると思うんです。ペットと一緒に飲食店に入れないとか、電車やバスに乗れないとか。そういった問題も犬猫のプレゼンスをあげることによって解決できると思いますし、弊社のビジョンでもある「あらゆるシーンで、犬も猫も、尊重される社会」を実現していきたいです。我々の強みであるカウンセリングにもっともっと磨きをかけてより犬猫たちが尊重される世界を作ることに貢献できたらと思っております。

— まだまだお話を聞きたかったのですがお時間となってしまいました…。伊東社長、本日は貴重なお時間とお話をありがとうございました!

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