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経営者取材

【経営者取材No.2】株式会社ストックアンドフロー 代表取締役 後藤潤一さん

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PT編集部

今回は動物病院に特化したサイネージ事業などを手掛けられる株式会社ストック&フローの後藤社長を取材させて頂きました。
後藤社長、本日はよろしくお願い致します!早速ですが、どのようなサイネージ事業を行っているんでしょうか?

動物病院のサイネージ事業とは?

私たちのサイネージ事業では、競争が激化している各動物病院の特徴や取り組みをキャッチアップし、オーダーメイド形式で各院の特徴を待合室のサイネージを通じて配信させて頂いています。近隣に新しく動物病院ができたけど「当院では何に力をいれてます」とか。動物病院ごとの特徴を【多くの文字ではなく】【ビジュアル】を通じてサイネージ配信させて頂き、飼い主様と動物病院のコミュニケーションのお手伝いをしております。

例えば、ある病院の理事長から「当院では特殊な治療方法を取り入れているのに、それを知らない患者様がまだまだ多く、もっと知ってもらうにはどうしたら良い?」とご相談を受けた事がありました。動物医療の進歩とともに治療の選択肢も年々増えてきていますが、多くの飼い主さんがそれを知らないという課題があったんですね。だから私たちは【病院と飼い主さんを繋ぐリレーション活用としてのサイネージ】に着目しました。待合室にあるテレビやサイネージを活用し「当院では○○治療に力を入れています」などと配信することで「先生、○○治療もされるんですね」ってリレーション構築のキッカケになると考えました。まだまだ発展途上ですが実験的にコミュニケーションツールの一つとして高い効果を得られています。

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PT編集部

確かに病院ってメニュー表もないし先生の指導に任せっきりで治療の選択肢があるのかもあまり考えなかったですね…。
その他は、何かサイネージ事業で工夫されていることはありますか?

サイネージ×アップセル

あとはデジタルマーケティングとしてのサイネージを活用したアップセル効果に力をいれています。簡単に言うと動物病院の新たな儲かる仕組みづくりです。

例えば飼い主様が愛犬のワクチン接種で通院したとして、ふとサイネージを見たら「来月から夏のサマーキャンペーン開始!健康診断を受診してドライシャンプーが30%OFF」とかあればアップセルにつながりますよね?そういった営業サポートツールとしてのサイネージ活用に注力しています。医療従事者の皆様には営業ではなく治療に専念していただきたいんです。サイネージを活用して「当院のオススメするペットアイテム5選!」って配信したら飼い主さんは「さっきの動画の商品を先生!買います!」といったストーリーが成立するわけです。

近年は歯科クリニックでもサイネージを活用して「デートに行くならホワイトニング」「見た目の印象と健康維持にインプラントを」などと周知を図り、自由診療でアップセルに成功した事例もあります。それは今後の動物病院も同様だと思っています。動物医療の発展や飼い主さんの健康管理意識が高くなってきている反面、現在は資材の高騰などで動物病院の運営が厳しい時代です。だからこそ物販販売でアップセルしようと努力している動物病院も増え、当社への問い合わせも年々増えています。私たちはサイネージから【キャンペーン】や【商品PR】を配信することで確実にアップセルにコミットしているんです。

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PT編集部

これからの時代は動物病院も治療だけでなく+αがカギなんですね…。
動物病院でアップセルをしていく中で工夫されている事はありますか?

アップセルのコツ

常に取り組んでいるのは「1つの基軸でどうやってアップセルをしていくか」っていう事です。どうしても人的リソースによって売り上げが左右される動物医療業界の中で、どうすればアップセルのサポートができるかを日々考えています。

例えばテレビCMの影響で知名度のあるペット商品はコンビニや大手ショッピングサイトなど、どこでも売っていますよね。さらに昨今の消費者は購買リテラシーが高いため店舗では購入せずネットで買ったりします。ポイントまでついたりして。では、どうすればアップセルできるか?それは消費者が見たことない新しい商品やサービスの発見です。メーカー各社はペット動向を見据えて常に新商品をリリースしています。そのような目新しい商材などをサイネージを通じて配信するんです。そうすることで商品のバッティングを回避でき、動物病院はしっかりと商品の販売が可能となり、メーカーは動物病院に寄り添った形で販路を作り出せるといった展開です。

また、サイネージのコンテンツに関する工夫でいうと、多くの飼い主さんは待合室でスマホを見ていると思うんですけど、スマホを置いてでもサイネージの動画を見ていただくという(仕掛け)を私たちは日々試行錯誤しています。併せて今の時代、多くの人は乱立したテキストよりビジュアルや動きにしか興味を持っていません。

あとは私たちのオーダーメイドのコンテンツ配信の一つとして”スタッフ紹介”を行っています。単なるスタッフの経歴などの自己紹介ではなくプライベート感覚なアプローチです。例えば「趣味は釣りです」とか「私は猫派です」とか、プライベートに一歩踏み込んだスタッフ紹介を配信することで飼い主さんとの親近感がサイネージを通して生まれるんです。こういった親近感を作り出すことで医療現場ではよくあるトラブルなどが軽減でき、昨今のネット検索の低評価のリスクヘッジになったなどの効果も発揮しています。同時にスタッフ側にも責任感が生まれて離職率が下がるという声もあります。このように動物病院と飼い主さんを繋ぐコミュニケーションツール&販売促進ツールのハイブリッド化を目指しています。

まとめますと、私たちは動物医療の慢性的でクリティカルな問題点を補い、単なるデジタルサイネージではない領域へもチャレンジし、同業他社との差別化をさらに加速化していく次第です。

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PT編集部

動物病院でのサイネージがここまで深く練られているものとは思いませんでした。
そもそもの質問になりますが、後藤社長はなぜ動物病院のサイネージに着目されたのでしょうか?

動物病院特化のサイネージ事業のキッカケ

昨今のペットブームに乗じて獣医師の専門化が急速に進んでいる事や、SNSなどの発達により動物医療を取り巻く状況が大きく変化している事がキッカケです。

具体的には、動物医療の広告に関する法律に「獣医療広告ガイドライン」というものがあります。そのガイドラインは大きく分けるとアナログ的手法と電磁的手法があり、非常に閉鎖的な項目も多かったのですが電磁的手法という部分をサイネージに置き換えて構想しました。最近までこのガイドラインは一昔前のままでしたが、ようやく改正が行われて現代の情報発信に合うようなものとなり、動物医療の発展にはより一層デジタルサイネージの活用がポイントだと見据えたわけです。

そこから私たちは農林水産省への直談判などアクションをし、省庁の定めるガイドラインと情報をもとにロードマップを作成して現在のサイネージ事業に至ります。最近では様々な学会でもしっかりリレーションをとり、定例的に動物病院向けにセミナーを開催したりしています。そういった交流で先生方々の声を元に事業設計しています。

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PT編集部

農林水産省への直談判…そこまでの行動力に感服です!
そんな動物医療に深く携わっておられる後藤社長がペット事業をされる上で大切にされている事はなんでしょうか?

ペット事業をしている上で大切にしている事

未来のペットとの共生で大切なことは【医療】と【教育】の発展です。
私たちはこの2つのワードを大切にしています。まずは動物病院が儲かる仕組みにすること。その結果、医療が発展して様々なサービスが派生します。そのサービスが生まれることで飼い主さんとのコミュニケーションが生まれ、人間自身がしっかりと動物に対しての知識をつけることにつながり、捨て犬捨て猫といった不幸せに導くリスクを減らすことができると考えています。なので、一般的なペット関連企業が掲げるテーマとは異なる「動物との接点を持たない」という真逆のアプローチをしています。

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PT編集部

動物病院の利益をあげる事で結果的に飼い主さんもペットも幸せにしていくビジネスモデルは素晴らしいと思います。
最後に、後藤社長の今後の展望をお聞かせ願います!

今後の展望

会社名にもしていますが、収益モデルでいうとストック収益とフロー収益の両輪をバランスよく展開できる事業こそがベーシックになると考えます。

その上で、動物病院のサイネージを起点に決済インフラを持つことを計画しています。わかりやすく例えると、今では一般的なタクシーの車内サイネージです。料金の支払い時にサイネージから決済ができるアレです。私たちのサイネージサービス名称は「Pets Arena」という名称でサイネージ配信をしていますが、サイネージ設置数とネームバリューが広がればタクシーのように決済インフラに着手できると計画しています。

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PT編集部

もっとお話をお伺いしたかったのですがそろそろお時間となってしまいました。
後藤社長、本日はお忙しい中お時間を頂きありがとうございました!

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