世界で一番人を殺した犬?ピットブルは危険な犬って本当?

ピットブルについて興味をお持ちでしょうか?
あまり一般的ではない犬種ですが、ファンの多い犬種として多くの人に知られています。

ところがその知られ方は良いことばかりではなく、複数の国の自治体では、飼育や繁殖が禁止されています。
世界で一番人を殺した犬とも呼ばれているピットブルは、本当に危険な犬なのでしょうか?

この記事を読み終わる頃には、私たちが犬と過ごした歴史の一部を知ることができ、犬好きとしてできることをまたひとつ見つけられるでしょう。

1.【性格や特徴】ピットブルってどんな犬?

一般的にピットブルと呼ばれる犬種は、アメリカン・ピットブル・テリアのことです。
闘犬を目的に品種改良された犬種で、大きさは中型犬程度であるものの、力は超大型犬に匹敵するといわれています。

テリア種の中でも、ピットブル系に当てはまる犬種は3種です。

1-1スタッフォードシャー・テリア

ピットブルは闘犬を目的として、ブルドッグとブルテリアを品種改良して作られました。
そして最初のピットブルとしてイギリスで誕生したのが、スタッフォードシャー・テリアです。

広く知られているアメリカン・ピットブル・テリアよりも小柄ではあるものの、肩幅が広くがっしりした体型をしています。
現在飼育されているほとんどのスタッフォードシャー・テリアは何代も家庭犬として飼われているので、アメリカン・ピットブル・テリアよりも穏やかであることが多いといわれています。

1-2アメリカン・ピットブル・テリア

イギリスから渡米した飼い主と一緒にアメリカに渡り、更なる強い闘犬を作り出すことを目的として品種改良されたのが、アメリカン・ピットブル・テリアです。

広く知られる「ピットブル」と呼ばれている犬種でもあり、筋肉質でいかにも強そうな体型は、1度見たら忘れられなくなります。

1-3アメリカン・スタッフォードシャー・テリア

イギリスからアメリカに渡ったピットブルは、闘犬用の「アメリカン・ピットブル・テリア」と家庭犬用の「アメリカン・スタッフォードシャー・テリア」の2種に分かれました。

スタッフォードシャー・テリアの血が強いアメリカン・スタッフォードシャー・テリアは、アメリカン・ピットブル・テリアよりも穏やかで飼いやすいといわれています。
体型もそこまでがっしりしているわけでもなく、日本でもピットブルの中では人気の犬種です。

2.世界中で行われてきた「闘犬」という文化について

闘犬以外にも闘牛や闘鶏など、世界では動物同士を戦わせる娯楽が数多く存在しました。
そのほとんどは既に禁止になっていますが、現在でも闇雲に行われている場所もあるそうです。

闘犬はペットとして飼育されるのではなく、闘犬用の犬として飼育されます。
体は闘いに相応になるよう食事を制限されたりトレーニングの強要、また、アメリカの闘犬は「ブラッドスポーツ(直訳:血の闘い)」とも呼ばれており、闘争心を煽るため暴力を振るわれることもあります。

そして多くの闘犬会場では賭けが行われており、飼い主も負ければお金を支払わなければいけないことがありました。
そのため、負けてしまった闘犬は飼い主によって暴力で殺されてしまうこともあったのです。

それらの出来事は1980年代のヨーロッパで始まり、およそ100年もの間続いてきました。
現在は多くの国や自治体で禁止になっていますが、それと同時にピットブルの飼育や繁殖までもが禁止になってしまっているのです。

3.現在のピットブルと人との関係

現在世界中で飼育されているほとんどのピットブルは、何代にも渡って家庭犬として飼われてきた子たちです。
闘犬は我慢強くちょっとのことではびくともしないので、その性格を上手に利用し、セラピー犬として活動している子がたくさんいます。

一方で世界の国の自治体では、危険犬種として飼育に繁殖までもが禁止されています。
それは闘犬としての過去から家庭犬として馴染むまでの間に、ピットブルによって死んでしまった人が多くいるからです。

ピットブルによる死亡事故のほとんどは、飼い主を守るためにやりすぎてしまった結果でした。
強盗に入ってきた犯人を噛み殺してしまったり、小さな子どもを守るために暴力を振るう親を殺してしまったりと、家族や家という存在を守ろうとした結果であることがほとんどでした。

またピットブルという犬種を見下し、大丈夫だろうと調子に乗った結果、怪我をさせられることも多いのです。
それらの理由であっても、飼育自体を禁止にしている国や自治体が多くあります。

2012年、カナダのモントリオール市で「ピットブルの飼育・繁殖は禁止」という条例が可決されました。
現在自宅で飼い犬として飼われているピットブルさえも、専門家が危険と判断した場合は安楽死させるというものでした。

世界中から批判の声が相次いだこの条例は、ピットブルという犬種を広く知ってもらう機会にもなりました。

現在はアメリカのみならず闘犬を禁止としている国や自治体が多く、忍耐強く多少のことではビクともしないことから、セラピー犬として多くのアメリカン・ピットブル・テリアが活躍しています。

飼育や繁殖を禁止している自治体は世界にいくつかありますが、反対する一方で擁護する人間がいるように、私たちがピットブルにしてあげられることを少しずつしていくしかないのではないでしょうか。

4.私たちが犬のためにしてあげられることは?

闘犬文化やピットブルに対する偏見は、少なからず存在しています。
犬種を問わず犬好きとして、私たちが犬にしてあげられることはあるのでしょうか?

現在世界中で動物愛護に対する関心が高まり、各国で保護犬活動が盛んに行われています。日本でも犬の対面販売を夜8時以降は禁止するなどの条例が決まり、犬を家族の一員として飼っている多くの飼い主さんが声を上げるようになりました。

ペットショップから購入するのではなく、保護犬や傷ついていた子たちを助けることも大切です。
ですが、より根本的な「一度飼ったら最後まで面倒を見る意識」を多くの人が持つことによって、これから不幸になってしまう命を減らすことができます。

ボランティアや募金も大切な活動の一部ですが、まずは目の前にいる愛犬を生涯大切に暮らしていきましょう。

5.まとめ

ピットブルに対する偏見は確かに存在し、彼らがたどってきた道は決して明るいものではありませんでした。
ですが、現在セラピー犬として活躍する多くのピットブルが、短所は長所に変えられるんだと教えてくれています。

犬と関係を築く中で私たちは自分たちの方が上だ(ボスだ)という認識が強いですが、そもそも犬は群れを主従関係で見るのはなく「仲間」という意識で見ています。
見方を変えれば暴力的だった部分も、忍耐強さとして共存していける方法があるのです。

ここまでピットブルについてお話ししてきましたが、最後に以下の3点だけご記憶いただけると幸いです。

1.ピットブルという犬種は、ブルドッグとブルテリアを掛け合わせて作られた
2.闘犬文化は世界的に衰退しているものの、現在でも行われている場所がある
3.私たちにできるのは「目の前の愛犬を生涯大切にすること」

著者:中川リナ