猫は、季節によって発情期を迎えるため季節繁殖動物と言われ、また、日照時間が長くなる季節に繁殖期を迎えるため、長日繁殖動物とも呼ばれます。日本で日照時間が長くなる季節は春と秋です。
これらの季節、飼い猫に子猫が生まれ、家庭で育てるのに困って捨て猫が増えます。また、地域猫と呼ばれる飼い主さんがいない野良猫たちは、去勢・避妊をしていない場合、子猫がどんどん増えていってしまいます。
もし目の前に、保護しなければ亡くなってしまうかもしれない子猫を見つけたら、あなたならどうしますか? 通り過ぎてしまいますか? それとも、小さな命を助けてあげたいと思いますか?
飼うつもりがないのなら子猫を抱き上げないで!
子猫を見つけて、かわいいからと安易に抱き上げないでください。また、同じ場所に戻すのは絶対にやめましょう。
もし、子猫を抱き上げてしまったら、必ずその子猫を持ち帰って育ててあげてください。なぜなら、一度、子猫に人の匂いが付くと、母猫はほかの子猫たちと自分の安全を考え、その子猫を捨てて引っ越してしまうことがあるからです。結果として、自力で生きていけない子猫は亡くなってしまいます。
母猫が離れている間に、子猫たちが動き回って人目に触れる場所に出てきてしまうことがあります。子猫nを育てるつもりがないのなら、子猫に触れるのは絶対にやめましょう!
もし、責任をもって子猫を育てようとするのであれば、以下の内容をぜひ参考にしてください。
拾った子猫を育てるためにすべきこと
1.動物病院で検査をしてもらう
捨て猫と思われる子猫を拾ったら、まず動物病院に連れて行ってください。
素人目では、生後何日かわからないでしょう。目が開かないのは生後間もないからとは限りません。目ヤニで開かない場合もありますし、衰弱している場合もあります。また、母猫が地域猫の場合、子猫にノミやダニが大量に寄生し、感染症をわずらっているかもしれません。
そのため、動物病院で検査をしてもらうことが重要です。また、生後2か月未満の場合は、猫用のミルクを与えなければならないので、病院でミルクを購入し、授乳の仕方を看護士に教えてもらいましょう。
2.子猫の体が汚れていたらタオルで拭く
動物病院から戻り家に着いたら、すぐに温かいタオルで子猫の体を拭いてあげてください。
子猫は、さまざまな検査をして体力を消耗しています。シャンプーをすることで、さらに消耗してしまうので、汚れていてもシャンプーはせず、タオルで拭く程度にしてください。。
シャンプーは、動物病院からの指示に従い、体力が回復してからにしましょう。
3.寒い日は子猫をしっかり保温
子猫は、自分で体温調節が上手にできないため、気温が低いとどんどん体力が奪われてしまいます。少し肌寒いと感じたら、すぐに子猫を保温してあげましょう。その方法は次のとおりです。
温めたお湯をペットボトルに入れ、タオルで包んでください。それを手で触れて少し温かいと思えるぐらいにして、子猫にあてがい、さらにタオルで子猫の体を包みます。
4.子猫の家を作ろう
子猫が休めるお家を作ってあげましょう。子猫が生後3か月未満の場合は、立派なキャットハウスを用意する必要はありません。段ボールで十分です。
段ボールにペットシーツを敷き詰めて、その中にふかふかのタオルを入れてあげてください。汚れてもすぐに替えることができるので、衛生的です。また、段ボールには保温性があるので、キャットハウスより温かく過ごすことができます。
5.子猫に猫用のミルクを与えること。牛乳は与えない
生後2か月までは、必要な栄養素が入った子猫用のミルクを必ず与えてください。しかし、牛乳やほかのペット用ミルクは、下痢をする可能性があるので与えてはいけません。
また、ペット用哺乳瓶は多くの種類がありますが、口が小さい子猫には細口乳首のものがおすすめです。
ミルクを子猫に与えるときは、人の赤ちゃんと同じようにミルクを人肌に温めます。そして、うつぶせの状態であげましょう。これは、子猫が仰向けの状態ではミルクを飲むことができないだけでなく、誤飲する恐れがあるからです。
子猫がミルクを飲んでくれない場合は、次のようなことが考えられます。
ミルクの温度が下がっている
冷たいミルクは飲みたがりません。再度温めてください。
子猫の体勢が不適切
子猫にとって母猫から授乳させてもらえる体勢が最も適切であり、うつ伏せにして顔が少し上がるくらいにしましょう。
哺乳瓶からミルクが出ていない
子猫によっては、哺乳瓶の乳首を吸う力が十分でない場合があります。哺乳瓶を逆さにしてミルクが出てこないようなら、乳首の切り込みを少し切って大きくしてみましょう。
6.子猫用ミルクから離乳食への移行
生後2ヶ月を過ぎてきたら離乳食を与えましょう。
離乳食の作り方は、温めた子猫用ミルクを子猫用フードに入れて、ふやかします。
始めのうちは、子猫用フードをごくわずかにし、ほぼミルクのような状態からスタートすると食べ始めてくれます。そして、少しずつミルクの量を減らしていき、4か月~5か月ごろには、ほぼカリカリのフードで満足するようにしてあげましょう。
子猫用ミルクは、とてもおいしいので、猫はずっとミルクを欲しがります。しかし、ミルクの量を減らさないと、いつまでもミルクのないいカリカリのフードを食べなくなってしまうので注意してください。
7.ミルクや離乳食を与えたら体重を測る
子猫はミルクをたくさん飲んでいるように見えて、実は口の下に垂れ流していることが少なくありません。食事はしているはずなのに痩せてしまって、「もしかして病気!?」と疑う前に、ミルクや離乳食を与える前後で猫の体重を確認しましょう。そして、与えた量を覚えておくのです。
食事をしっかりしていれば、その分体重が増えますが、あまり増えていないのなら、きちんと口に運んでいないということなので、再度ミルクをあげましょう。
子猫の体重を測るときは、キッチンスケールが便利です。
8.トイレをさせよう
生後1か月半未満のコネkは、自力でトイレ(排泄)ができません。そこで、少し濡らしたティッシュで子猫のお尻と陰部をポンポンと軽く叩いて刺激し、排泄を促します。出ないと思って覗き込むと、突然おしっこを浴びせかけられることがありますので注意しましょう。
なお、子猫のお腹が張って排泄させられない状態が2日続いた場合は、動物病院に行ってください。
生後2~3か月になると自力で排泄できるるようになるため、猫用トイレを用意しましょう。
9.生後3か月を過ぎたら思いっきり遊んであげる。思い出を大切に
猫は生後3か月を過ぎると、元気に遊び始めます。子猫が部屋の中でけがをしないように気を付け、思う存分遊んであげてください。
また、子猫の期間はあっという間なので、写真をたくさん撮りましょう♪
番外編:先住猫がいる場合
可能であれば先住猫と子猫のいるスペースや部屋を分けましょう。その理由は、先住猫がやきもちを焼いて、子猫に攻撃的になることがあるからです。
部屋がどうしても分けられない場合は、ごはんや猫と過ごす時間など、可能な限り先住猫を優先してください。
子猫を拾ったらすべきことのまとめ
子猫を拾ったら、責任をもって生涯その命を大切にしてあげてください。
子猫は、とてもかわいいいですが、離乳していない場合は想像以上に大変です。2、3時間おきのミルクと排泄に追われます。生き物ですから、途中でつらいと感じてもやめることはできません。
目が開かない子猫から育て上げるのは時間と労力を費やし、おすすめできるものではありません。しかし、猫が成長し、かつての苦労を思い出したとき、この上ない充実感が得られるでしょう。
さまざまな事情で子猫を飼えないけれど、放っておけないという方は、猫の保護ボランティア団体や動物愛護センターに相談しましょう。
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