スコティッシュフォールドのかかりやすい病気の予防と治療について

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気の特徴

スコティッシュフォールドは、突然変異によって耳の軟骨が折れ曲がった特徴をもつ個体を近親交配して繁殖させてきました。そのため、軟骨に異常が見られる骨瘤という病気や、耳が折れ曲がっているせいで耳に汚れが溜まりやすくなるなどの症状がしばしば見られます。

また、品種特有ではありませんが、肥大型心筋症や多発性嚢胞腎症といった純血種に見られる病気を発症することもあります。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気の概要、症状

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気「骨瘤」「耳の汚れ」の症状

骨瘤(遺伝性骨形成異常症)

骨瘤(遺伝性骨形成異常症)は、スコティッシュフォールド特有の遺伝性疾患です。これは、骨瘤と呼ばれる軟骨のこぶができてしまう病気で、手足や尻尾の関節部分にある軟骨がこぶ状に大きくなってしまいます。

発症すると、痛みを伴うため、歩きたがらない、ジャンプしなくなる、爪切りを嫌がるなどの症状が見られます。また、スコティッシュフォールドの中でも、特に体型や顔立ちが丸くていわゆる「タヌキ顔」の子に発生が多い印象があります。

なお、両親が折れ耳である場合、子供にこの病気が発症するリスクが非常に高くなるため、折れ耳同士の交配は禁忌とされています。

耳の汚れ

スコティッシュフォールドは耳が折れ曲がっているため、耳垢が溜まりやすいという特徴があります。

耳垢が溜まると耳道(耳の穴)内の環境が悪化します。環境の悪化は直接的な外耳炎といった病気の原因にはなりませんが、増悪因子になります。つまり、ほかの問題がなければ頻繁に外耳炎になるわけではないのですが、なったときに悪化しやすいというのがスコティッシュフォールドの特徴です。

外耳炎はその名のとおり、外耳(耳の入口から鼓膜まで)に炎症が起きた状態です。赤みと痒みが特徴で、ひどくなると痛みが出ることもあります。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気「肥大型心筋症」「多発性嚢胞腎症」

肥大型心筋症

肥大型心筋症は、スコティッシュフォールドに限らず、猫の心臓病の中で最も多い病気です。

肥大型心筋症になると、心臓の筋肉が内側に向かって分厚くなり、心臓の内腔が狭くなるため、血液を全身に送りにくくなってしまいます。

この病気の初期段階では無症状ですが、進行すると元気や食欲がなくなってきたり、肺水腫を起こして呼吸困難になったりして、開口呼吸をすることがあります。また、血栓ができてしまうことがあり、後ろ足に詰まると麻痺が出ます。

多発性嚢胞腎症

多発性嚢胞腎症は、ゆっくりと進行しますが、一度発症してしまうと元に戻らない遺伝性の腎臓病です。ペルシャ猫やその血縁関係にある猫に好発しますが、最近はスコティッシュフォールドでの発症も認められています。

腎臓に嚢胞という液体が入った袋状の構造ができ、徐々に数が増えて大きくなっていきます。嚢胞が正常な腎臓の組織に取って代わっていくため、腎臓の機能は次第に低下していきます。そのため、症状は腎不全のそれで、疲れやすい、運動したがらない、食欲が落ちる、多飲多尿、痩せていく、たまに吐くなどです。3~10歳ごろに症状が出てくることが多いようです。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気の予防と治療

骨瘤(遺伝性骨形成異常症)の予防と治療

遺伝性疾患であるため、予防法はありません。

生後数か月の成長期に病気の症状が出始めることが多いため、今まで元気だったスコティッシュフォールドが大人しくなってきた、ジャンプをしなくなった、爪切りを非常に嫌がるといった症状が見られたら、動物病院を受診してください。この病気は、レントゲン検査で骨瘤の存在や関節の変形を調べることで診断されます。

治療は対症療法で、スコティッシュフォールドに激しい運動をさせない、室内の段差を減らすなどの環境対策と、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤を使用します。体の成長が落ち着くと、症状が落ち着く子もいますが、残念ながら一度起きてしまった骨瘤や関節の変形が治ることはありません。

耳の汚れの予防と治療

日ごろからこまめにスコティッシュフォールドの耳の中が汚れていないかをチェックしてあげましょう。耳の穴の入口が汚れていたら、コットンなどでやさしく拭き取ってあげてください。

ただし、綿棒をスコティッシュフォールドの耳の中に突っ込むと耳道を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまったりすることがあるのでおすすめしません。

外耳の見える範囲がきれいなのにスコティッシュフォールドが耳を気にしていたら、見えない奥の部分に炎症が起こっている可能性があるため、動物病院を受診してください。

肥大型心筋症の予防と治療

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気の予防と治療
肥大型心筋症という病気の原因はわかっていないため、予防法がありません。心臓病の中には、初期段階から聴診器で心雑音が聴取され、それが病気の発見の糸口になるものもあります。しかし、肥大型心筋症は心雑音が出ないことも多いため、スコティッシュフォールドに定期的な健康診断を受けさせ、心臓の超音波検査を行うことをおすすめします。

肥大型心筋症を完治させる治療法はないため、スコティッシュフォールドの肺に水が溜まったら利尿剤を使う、循環不全の対策として血管拡張薬や強心薬を使うなどの対症療法を行います。また、血栓塞栓を起こさないような薬を使うこともあります。

多発性嚢胞腎症の予防と治療

多発性嚢胞腎症は遺伝性の病気であるため、予防法はありません。

治療は対症療法で、腎不全の治療になります。タンパク質とリンを制限した食事療法、皮下輸液、リン吸着剤などでスコティッシュフォールドが尿毒症になるのを遅らせたり、症状を軽減したりします。

また、腎不全が進行すると貧血が進行します。これは、腎臓で合成されるエリスロポエチンという血液を作るホルモンが不足するようになるからです。そのため、貧血が重度な場合は、エリスロポエチン製剤をスコティッシュフォールドに投与することがあります。

スコティッシュフォールドのかかりやすい病気のまとめ

折れ曲がった耳がとてもかわいらしいスコティッシュフォールドですが、その特徴が病気にもつながっているということは、純血種の難しさを感じてしまいます。

病気の中には、最初は無症状のものや通常の身体検査では発見できないものもあります。早期発見して早期治療ができるように、愛猫のスコティッシュフォールドを動物病院に連れて行き、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。

RELATED

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。