犬の皮膚病について、お悩みでしょうか?
犬にも人と同じように様々な皮膚病があり、犬種や体質によって発症しやすい皮膚病があります。
日常生活の中で防ぐことができる皮膚病も多く、食事やシャンプーなどに気を付けることで愛犬のカイカイを減らしてあげることができるのです。
この記事を読み終わる頃には、犬の皮膚病について知ることができ、最適な予防法を取り入れることができるでしょう。
1.【症状別】犬の皮膚病には種類がある?
犬の皮膚病には種類があり、今回は代表的な皮膚病を4種類紹介します。
1-1膿皮症
犬の皮膚病の中で、最も多いのが「膿皮症」です。
膿皮症は、犬の皮膚の表面で細菌が繁殖し、化膿した状態をいいます。発症してすぐの頃は皮膚の表面に小さなプツプツができ、時間とともに患部が広がり化膿していきます。
人のニキビのような発疹が広がっていく感じがしたら、膿皮症だといえるでしょう。
【膿皮症の症状】
・落ち着きなく、気が付くと同じ場所をかいている
・かいている場所が化膿している
・斑状(丸く、ポツポツとした感じ)に脱毛している
・発疹が見られる
【膿皮症の原因】
膿皮症の原因は「ブドウ球菌」です。
ブドウ球菌はいつも皮膚の表面にあるのですが、普段は悪さをすることはありません。
しかし、免疫力が下がったりストレスが溜まることによって、異常に繁殖してしまい膿皮症を引き起こします。
【膿皮症の治療法】
皮膚の表面上にのみ症状が見受けられる場合は、局所的な治療が行われます。
ヨウ素などを含んだ温水に患部を10分ほど浸けたり、抗菌作用のあるクリームを処方してもらい、患部に塗ることで治していきます。
皮膚の表面上だけではなく、奥深くにまで症状が見受けられる場合には、抗生物質を使用して治療します。
この場合、局所的な治療に比べ、完治までの期間が長くかかってしまいます。
1-2皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は皮膚の中に「真菌(カビ)」が侵入し、繁殖してしまう皮膚病です。
かゆみが強く円形の脱毛がよく見られる症状で、かきむしった患部から二次感染を引き起こす可能性もあります。
皮膚糸状菌症は珍しい皮膚病ではありませんが、いつ・どこで感染するか分からない皮膚病です。
円形の脱毛が少しずつ広がっていくようでしたら、皮膚糸状菌症といえるでしょう。
【皮膚糸状菌症の症状】
・円形の脱毛が見られる(時間とともに脱毛箇所が増える、広がる)
・発疹が出ている(赤味の強いプツプツ)
・かさぶたになっている
・強いかゆみ
【皮膚糸状菌症の原因】
皮膚糸状菌症は、すでに発症している他の犬との接触で発症します。
外部からもらった真菌(カビ)が、犬の表皮や被毛に付着し、そこから炎症を起こします。
健康な犬であれば発症する確率は低いのですが、子犬や老犬、体力が低下している犬など、免疫力の低い犬は発症しやすくなってしまいます。
【皮膚糸状菌症の治療法】
皮膚糸状菌症の治療は、内服薬と外用薬を用いて行われます。
治療期間には数週間から数カ月かかるといわれており、根気よく病院に通う必要があります。
また原因は真菌(カビ)のため、普段使用しているクッションや布団、リードやハーネス、ブラシなどを殺菌するのも大切です。
1-3ツメダニ症
ツメダニ症は「ツメダニ」というダニの一種が、犬の皮膚の中に侵入することで発症します。
すでに感染している犬から移ってしまうケースがほとんどで、人にも感染します。
愛犬にかゆみが見られたり大量のフケが確認でき、自分自身も赤い発疹などが出ているようでしたら、ツメダニ症といえるでしょう。
【ツメダニ症の症状】
・大量のフケが出る
・かさぶたができる
・発疹箇所がただれている
・かゆみがある
【ツメダニ症の原因】
ツメダニ症は、すでに感染している犬との接触で発症する場合がほとんどです。
ただし普段使用しているハーネスやブラシにくっついた、ノミやハエなどの大きな外部寄生虫を介して感染するケースもあります。
日常的に使用しているものも、定期的に殺菌消毒し清潔に保つようにしましょう。
【ツメダニ症の治療法】
ツメダニ症の治療は、まず皮膚にくっついているツメダニを駆除することから始まります。
専用のシャンプーや殺ダニ剤を使用し、体からツメダニを取り除いていきます。
ツメダニは宿主(今回の場合は犬の皮膚に寄生しているので、犬の皮膚が宿主です)が無くても、10日ほどは自力で生きることができるといわれています。
そのため病院での治療以外に、家の中からツメダニを徹底して取り除かなければいけません。(詳しい説明等は獣医師から受けることができます)
リードやハーネス、ブラシに洋服、ゲージの中のすべてのものを殺菌消毒することも、大切な治療の一環です。
1-4疥癬(かいせん)
疥癬は「ヒゼンダニ」というダニの一種が、皮膚に侵入することで発症します。ヒゼンダニは顕微鏡でしか確認できないほど小さく、肉眼で見ることは不可能です。
感染してからすぐに発症するわけではなく、2〜6週間を経て発症し、症状が現れます。
休む暇もなくかき続けるほど、強いかゆみが見られる場合は、疥癬だといえるでしょう。
【疥癬の症状】
・ずっとかき続けるほどの、強いかゆみ
・フケが出る
・目の周り、脇の下、お腹、かかとなどの皮膚が柔らかい場所に、赤い発疹ができる
・発疹箇所が、かさぶたになっている
・まだら状の脱毛(円形などの決まった形ではなく、ポツポツと色々な場所にできる)
・化膿している患部が見受けられる(この場合、二次感染している可能性が高い)
【疥癬の原因】
疥癬はすでに発症している犬との接触で感染しますが、ヒゼンダニの生命力は強く、宿主を離れても1〜2日は生きることができます。
そのため散歩でたまたま通りかかった場所で、たまたまヒゼンダニがくっついてしまうこともあり、完璧に防ぐことは難しいといわれています。
また多頭飼いをしている家庭では、1匹が発症すると他の犬にもあっという間に広がってしまいます。
【疥癬の治療法】
疥癬の治療法はツメダニ症と同じく、まずはヒゼンダニを駆除することから始まります。
殺ダニ成分の入ったシャンプーをしたり、薬剤を混ぜたお湯に浸からせたり、殺ダニ成分の入ったスプレーを吹きかけたりします。
またかゆみを抑えるための内服薬や、抗生物質を一緒に処方されることが多いです。
ヒゼンダニは感染力が強いので、ツメダニ症と同じく、家の中からも徹底的に排除することも大切な治療の一環です。
2.犬の皮膚病は、完治することなく繰り返すもの?
犬の皮膚病の厄介なところは、きちんと最後まで治療を受け「完璧に完治」させない限り、再発する可能性が非常に高いのです。
またかいてしまった患部から二次感染を引き起こす場合も多く、複数の皮膚病を同時に発症してしまうこともあります。
皮膚病は犬種や体質によってかかりやすい子も多く、多くの犬が経験する病気です。
治療は地味で根気のいるものがほとんどですが、獣医師に「もう大丈夫」と言われるまでは必ず病院へ通うことを続けましょう。
3.皮膚が弱い子におすすめのシャンプー
犬にも人と同じように、皮膚の弱い子と強い子がいます。
犬種の遺伝的にかかりやすかったり、生まれつき弱かったりと様々なタイプがいます。
皮膚病は日常生活の中で防ぐこともできるので、今回はそんな皮膚の弱い犬にオススメのシャンプーをご紹介します。
3-1薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー犬猫用/フジタ製薬
フジタ製薬から発売されている薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプーは、皮膚・被毛に殺菌消臭効果のあるシャンプーです。
動物病院で最も処方されている「クロルヘキシジン」が配合されており、細菌・真菌・ウイルスなど、幅広い抗菌作用があります。
また毒性・刺激性がとても低く、低濃度でも殺菌効果があります。安全性の高さや長時間効果があることなど、日常的に使用するシャンプーとしては皮膚病予防に適したシャンプーといえます。
3-2ノルバサンシャンプー/ノルバサン
ノルバサンから発売されているノルバサンシャンプーも、動物病院で最も処方されている「クロルヘキシジン」が配合されています。
先ほど紹介したフジタ製薬の「薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー」との違いは、コンディショナー成分が配合されていることです。
こちらのシャンプーは、長毛種の子や毛並み・毛艶に不安がある子にオススメです。
3-3ティーツリーシャンプー/A.P.D.C.
ティーツリーシャンプーは、ユーカリを始めとしたハーブがたくさん配合されています。
ヒアルロン酸も配合されているので、皮膚や被毛に潤いを与えることができ、天然アロエベラ成分が皮膚を保湿しフケを防いでくれます。
爽やかな香りは虫除け対策にもなり、自然にある植物を使用した肌に優しいシャンプーです。
人工的な香りが苦手な方、皮膚病になったことはなくても愛犬の皮膚に不安がある方、普段使いするシャンプーとしてオススメです。
4.犬の皮膚病を予防するために、飼い主ができることは?
犬の皮膚は、人間の皮膚の3分の1〜5分の1ほどの薄さです。
もともと野生で暮らしていた動物なので、たくましいイメージがありますが、全身に被毛がある分、人よりもずっと皮膚が薄いのです。
そのため、皮膚トラブルはほとんどの犬が1度は経験するといっても過言ではなく、飼い主として他人事ではありません。
皮膚病は「かかりやすく、治りにくい」特徴があるので、以下の要点を心掛けましょう。
・日々のブラッシングは欠かさないこと
・シャンプーとコンディショナーは、必ず定期的に行うこと
・リード、ハーネス、ブラシ、クッション、タオルなど、犬が普段使っているものも定期的に洗濯すること(洗えないものは天日干しで太陽殺菌しましょう)
・外から帰ってきたら、シャンプータオル等を使って体を清潔に保つこと
・家の中で、犬が生活する場所の掃除は欠かさないこと
5.まとめ
犬の皮膚病は、病気の中でも比較的身近で、どの子もかかる可能性がある病気です。
食事や治療法が確立されるにつれて犬の寿命も伸びてきましたが、それに伴いアレルギーを発症する子も増えてきています。
犬の皮膚病を防ぐためには、日々の生活の中で、飼い主が意識を持つだけで大きく変わります。発症してしまった場合は速やかに獣医師の診察を受け、完治するまで根気よく病院へ通いましょう。
ここまで犬の皮膚病についてお話ししてきましたが、最後に以下の3点だけご記憶いただけると幸いです。
1.犬がよくかかる皮膚病は、膿皮症・皮膚糸状菌症・ツメダニ症・疥癬(かいせん)
2.犬の皮膚病は完治するまで治療を続けないと、再発する可能性が高い
3.皮膚病を予防するためには、犬もグッズも家も常に清潔を保つこと
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