シーズーのかかりやすい病気の概要と症状
大きな目が特徴のシーズーですが、その分、目の病気が比較的多く見られます。また、シーズーは皮膚や呼吸器の病気も多い犬種です。
日常生活の中で予防できるものもあるので、どんな病気に注意すればよいかを見ていきましょう。
シーズーのかかりやすい病気の概要と症状
乾性角結膜炎
「乾性角結膜炎」は、「ドライアイ」とも呼ばれる疾患で、涙の量が少なくなることで角膜に傷が付いてしまいます。重度になると、角膜表面だけでなく、さらに奥まで傷が深くなること(角膜潰瘍)もあります。また、結膜炎を併発することも少なくありません。
症状は、目の充血、黄色の目やに、目が開きづらくなる(羞明)が現れます。また、目の痛みが強いと、瞳孔が非常に小さくなります。
緑内障
眼球が丸い形を保っているのは、目の内側から圧力がかかっているからです。これを眼圧と言いますが、この眼圧が高くなる状態が「緑内障」です。高い眼圧は、目の奥にある視神経を障害し、失明を招きます。
症状は、目の充血、瞳孔の拡大、目の痛み、まぶたの痙攣が挙げられます。
マラセチア性皮膚炎
皮膚の表面でマラセチアという酵母が増殖することで、皮膚炎が引き起こされます。マラセチアは脂っぽい場所を好む傾向にあります。シーズーの皮膚は脂漏症などで脂っぽくなりやすいので注意が必要です。
症状は激しいかゆみ、脱毛、発赤などが見られます。
アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎」は、アレルギーや遺伝的なものなど、いくつかの要因が絡み合って皮膚のトラブルを起こす疾患です。特に足先、足の付け根、目の周り、お腹、肛門周囲に炎症を起こすことが多いようです。
アトピー性皮膚炎の症状は、激しいかゆみと脱毛が見られ、長期に渡ると皮膚が厚くなってきます。
短頭種気道症候群
シーズーのような鼻ぺちゃの犬種(短頭種)は構造上、呼吸がうまく行えないことがあります。これを「短頭種気道症候群」と言います。気管軟骨が弱くなることで気管が潰れる気管虚脱、鼻の穴が狭い鼻腔狭窄、口の中の軟口蓋などの軟部組織が余ってしまう軟口蓋過長症が単一、または複数起こります。
短頭種気道症候群の症状は軽度であれば無症状や、寝ている時のいびき程度ですが、重度となると呼吸困難に陥ります。
熱中症
高温の状態に長時間さらされることで、体温が40℃を超えた状態です。シーズーのような短頭種は呼吸がうまくできない子が多く、熱の発散が苦手です。そのため、体温が上がりやすく、「熱中症」にかかりやすいと言われています。
熱中症の症状は40℃以上の高体温、呼吸の促拍、歯茎などの粘膜の充血です。放っておくと、低血圧、ショック状態となり、非常に危険です。
シーズーのかかりやすい病気の治療と予防
乾性角結膜炎の治療と予防
角膜に潤いを与えるために、人工涙液やヒアルロン酸の点眼が必要となります。また、角膜に傷がある場合は抗菌薬や消炎鎮痛薬の点眼も同時に行います。角膜潰瘍などの深い傷には血清点眼(シーズー自身の血液から作る点眼薬)を用いることもあります。
乾性角結膜炎の予防としては、1日数回の人工涙液やヒアルロン酸の点眼を行い、角膜表面を保護します。
緑内障の予防と治療
緑内障の予防法は残念ながらありませんが、初期と末期で治療法が大きく異なるので、早期発見は非常に重要となります。そのため、シーズーの目のチェックをこまめにしてあげましょう。
初期の緑内障であれば眼圧を下げる点眼薬や点滴の投与が主な治療になります。重度になり、視力の回復が見込めない場合は、外科手術によって眼球を摘出することもあります。
マラセチア性皮膚炎の予防と治療
マラセチア性皮膚炎の予防は、皮膚を清潔に保つために適度なシャンプーを続けることです。
治療は、皮膚炎を起こしている範囲によって異なります。局所の皮膚炎では、抗真菌作用のあるシャンプーをシーズーに対してこまめに行います。皮膚炎が広範囲にわたる場合は、抗真菌薬の内服を行います。
アトピー性皮膚炎の予防と治療
アトピー性皮膚炎を予防する方法はありません。しかし、シーズーに対するアレルギーが一因となっていると考えると、アレルゲンへの曝露を避けることは予防につながります。食事からのアレルゲンの摂取を避けるために、低アレルゲン食への変更も大切です。
アトピー性皮膚炎の治療は、炎症を抑えるためにステロイドや免疫抑制剤を用います。また、定期的なシャンプーによって皮膚のバリアを保つことも重要です。
短頭種気道症候群の予防と治療
短頭種気道症候群は、シーズーのような鼻ぺちゃの犬種(短頭種)の構造上の疾患であり、ほとんどが遺伝性に発生するので予防法はありません。シーズーの呼吸の異常がある場合は早めに検査を受けることをおすすめします。
それぞれの呼吸器疾患に対する治療が必要となります。気管虚脱に対しては、気管支拡張薬の投与や手術による気管の拡張を行います。
鼻腔狭窄に対しては、外科手術によって狭くなっている鼻腔を広げます。軟口蓋過長症に対しても、外科手術によって長い軟口蓋を切除します。
熱中症の予防と治療
熱中症の予防は、室内の温度管理が重要となります。夏場はクーラーでシーズーを涼しくしてあげましょう。また、散歩も朝や夕方などの気温の低い時間に行きましょう。
熱中症の治療は、ゆっくりと体温を下げることです。急激に冷やすと、体内で血栓が出来やすくなるのでかえって危険です。ショック状態にある場合は、速やかに血管収縮薬と輸液を用いて血圧を確保します。
シーズーのかかりやすい病気のまとめ
シーズーを飼ううえで注意しなければならない主な病気を紹介しました。シーズーは短頭種であるため、それを要因とする呼吸不全のリスクがあります。しかし、肥満にならないよう体重管理をしたり、呼吸負担にならないよう温度管理を行ったりなど、飼い主さん自身が実践できることがあります。
また、これ以外の病気にもかからないわけではないので、日ごろから愛犬の異常を注意深く観察しましょう。
コメント