ロングコートチワワのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

ロングコートチワワのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

ロングコートチワワのかかりやすい病気の傾向

チワワは、被毛の長さの違いからスムースコートチワワとロングコートチワワに分けられます。ロングコートチワワは、床に引きずらない程度の長毛で覆われ、腕や頭部、しっぽに飾り毛があります。体は非常に小さく、日本でも人気の犬種です。

そんなロングコートチワワのかかりやすい病気について解説します。

ロングコートチワワには、先天的にかかりやすい病気や、体の特徴からかかりやすい疾患など幅広くあります。予防できるものもあるので、しっかり把握しましょう。

ロングコートチワワのかかりやすい病気の概要と症状

膝蓋骨脱臼

ロングコートチワワのかかりやすい病気「膝蓋骨脱臼」「水頭症」

膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿(膝蓋骨)が、正常の位置から外れてしまう病気です。

チワワのような小型犬では、膝蓋骨のはまっている溝が生まれつき浅いことがあります。症状は、後ろ足の痛みによる跛行(足を引きづるように歩く)、挙上(足を持ち上げる)が見られます。

また、膝蓋骨の脱臼が長期に渡ると膝関節で関節炎が起き、骨の変形や靭帯の損傷につながる恐れがあります。

水頭症

「水頭症」は、頭蓋骨内に液体がたまってしまう病気です。

脳は、頭蓋骨内で脳脊髄液に浮かんでいる状態ですが、何らかの理由で脳脊髄液のたくさん作られてしまい、排出ができなくなると水頭症が起こります。原因は遺伝や脳挫傷などありますが、チワワの場合は先天的な奇形によるものが多いと言われています。

症状は、発作、運動失調、斜頸などの神経症状が見られます。

僧帽弁閉鎖不全症

「僧帽弁閉鎖不全症」は、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁が変性し、血液が逆流する病気です。血液の逆流によって左心房と左心室は大きくなり、心臓の拡大を起こします。

すると、循環不全による疲れやすさ(運動不耐性)や、心臓の上を走っている気管への刺激のために咳が出るようになります。また、左心房への血液の鬱滞(血流が静脈内で停滞した状態)によって肺水腫を起こすことも少なくありません。また、肺水腫の場合は、呼吸困難、チアノーゼ(血液中の酸素が減少し、二酸化炭素が増加したため皮膚や粘膜が青紫色を帯びること)が見られます。

気管虚脱

ロングコートチワワのなりやすい病気「気管虚脱」「尿石症」
気管を構成する軟骨が弱くなり、呼吸のたびに気管が潰れてしまう病気です。チワワを始めとする小型犬に多いと言われています。それによって、呼吸困難や酸欠、咳などが見られます。

尿石症

「尿石症」は、尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が形成される病気です。

チワワは、シュウ酸カルシウムという成分の結石が形成されやすいと言われています。
症状は頻尿や血尿などの尿症状が見られます。また、尿管や尿道の細い部分に結石が閉塞すると、急性腎不全を引き起こします。

角膜炎

角膜は、黒目に当たる部分です。「角膜炎」は、細菌の感染やアレルギー、あるいは外傷によって起こる角膜の炎症のことです。

チワワのように目の大きな犬種は、どこかにぶつけたりなどして角膜に傷を作ることが少なくありません。症状は、目の痛み、結膜炎、流涙が見られます。

ロングコートチワワのかかりやすい病気の予防と治療

膝蓋骨脱臼の予防と治療

膝蓋骨脱臼の予防は、膝に負担をかけないことです。室内ではマットを敷いてあげたり、遊ぶ時も急激なダッシュは避けましょう。また、イスやソファなどの段差にも注意が必要です。

愛犬のロングコートチワワの膝の痛みが軽度の場合は、抗炎症薬や鎮痛薬を投与し、安静にします。

しかし、痛みが重度の場合は外科手術が必要になります。大腿骨の溝を深くし、内側からの筋肉の力を開放します。

水頭症の予防と治療

ロングコートチワワがかかりやすい病気「水頭症」「僧帽弁閉鎖不全症」の予防と治療

チワワによく見られる水頭症は、遺伝的な発生が多いので、予防法は残念ながらありません。しかし、早期発見によって脳へのダメージが深刻になる前に治療を開始することが大切になります。そのため、愛犬のロングコートチワワに変わった様子がないか、家庭内でのチェックは非常に重要となります。

水頭症の治療は、脳圧を下げる薬をロングコートチワワに投与するといった対症療法が中心となります。神経症状が重度の場合は、外科手術によって脳と腹腔をバイパスし、脳脊髄液を逃がすこともあります。

僧帽弁閉鎖不全症の予防と治療

僧帽弁閉鎖不全症の予防法は残念ながらありません。しかし、定期的な検診による早期発見によって内科的にコントロールすることが可能な病気です。

治療は内科的なものが中心になります。ロングコートチワワに血管拡張薬を投与し、心臓の負担を軽減しつつ、強心薬で循環を改善します。肺水腫の場合は緊急に治療が必要であり、利尿薬によって肺にたまった水を除去します。同時に酸素の吸入を行います。

気管虚脱の予防と治療

気管虚脱は遺伝的な発生のため、予防法はありません。愛犬のロングコートチワワに対し肥満の予防や、散歩の時に首輪を強く引かないなど、発症をある程度抑制することはできます。

気管虚脱の治療は、ロングコートチワワに気管支拡張薬や抗炎症薬を投与することによって呼吸の状態の改善を図ります。気管の変形が重度の場合は、外科手術によって気管を広げることもあります。

尿石症の予防と治療

尿石症の予防は、結石に配慮したミネラルバランスの整った食事を愛犬のロングコートチワワに摂らせることです。

尿石症の治療は、基本的に食事療法で結石を溶かします。しかし、シュウ酸カルシウム結石は食事の変更にって溶けないので、外科手術によって結石を摘出する必要があります。

角膜炎の予防と治療

ロングコートチワワのかかりやすい病気「角膜炎」の予防と治療

角膜炎の予防は、家具にぶつかったり、散歩中に草むらに顔を突っ込んだりすることを止めさせることで、目に傷が付くのを防ぐことができます。

治療は、抗炎症薬や抗菌薬の点眼を行います。傷の治りが悪い時は、血液から作る血清点眼を行うこともあります。

ロングコートチワワのかかりやすい病気のまとめ

小型化するように品種改良されてきたロングコートチワワは、遺伝的な疾患が多くあります。日本でも飼育する人が多いので、病気の話をよく聞くと思います。しかし、そうした病気の多くは早期発見と早期治療によって治療することができます。日ごろのチェックを怠らないようにしましょう。

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