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タイニープードルのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が解説】
- 2019年07月26日
- ペットの健康
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タイニープードルの病気の傾向
タイニープードルは、トイプードルとティーカッププードルの間くらいのサイズです。体は小さいですが構造自体はトイプードルと同じであるため、かかりやすい病気も共通しています。膝蓋骨脱臼、外耳炎、クッシング症候群などが代表的です。
本稿では、タイニープードルのかかりやすい病気とその予防、治療方法について詳しく解説します。
タイニープードルのかかりやすい病気の概要、症状
膝蓋骨脱臼
「膝蓋骨脱臼」は、膝関節を構成する骨のひとつつである膝蓋骨という小さな骨が、大腿骨の溝から外れてしまう状態です。
脱臼には内側脱臼と外側脱臼があり、タイニープードルは内側脱臼が多い犬種です。脱臼する時期で分類すると、先天的に脱臼しているケース、成長とともに脱臼が慢性化していくケース、怪我や事故で脱臼するケースがありますが、タイニープードルはどのケースも見られます。
先天的に脱臼していると、成長期に後ろ足の骨が歪んで伸びてしまい、姿勢に異常がみられるようになったり、歩きにくくなったりすることがあります。成長とともに脱臼が慢性化していくケースでは、ほとんど症状が出ることなく飼い主さんも気づかないことが多いようです。けがや事故で脱臼すると痛みが出ることが多く、足を挙げる症状が見られます。
外耳炎
耳の入口から鼓膜までの外耳に炎症が起きるのが「外耳炎」です。
外耳炎の原因はアレルギーや脂漏症のような体質的なもの、耳の中の異物、耳の寄生虫、内分泌疾患や免疫介在性疾患などがあります。また、外耳炎になるとマラセチアや細菌が増殖します。
タイニープードルのように耳が垂れた犬種では、外耳の通気性が悪く高温多湿の状態になりますが、この状態は外耳炎発症のリスクが高くなります。症状は外耳の赤みやかゆみで、重症化すると痛みが出ることもあります。
クッシング症候群
犬のホルモンの病気の中で最も多くみられるのが「クッシング症候群」です。「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれ、副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になることでさまざまな症状が出てくる病気です。5歳以上の中高齢での発症が多いとされています。
クッシング症候群は原因によっていくつかに分類されますが、タイニープードルで多く見られるのは、脳の中の下垂体に腫瘍ができることで発症するタイプです。下垂体からは副腎皮質のホルモン分泌を促すホルモンが分泌されているのですが、これが出すぎてしまうことによって副腎皮質からのコルチゾール分泌が過剰になります。
症状は水をたくさん飲んでおしっこの量も増える多飲多尿、左右対称に見らえる脱毛、皮膚が薄くなるなどがあります。
タイニープードルのかかりやすい病気の予防と治療方法
膝関節脱臼の予防と治療方法
先天的な脱臼は予防できず、後ろ足の骨にも影響が出てしまうため早期の手術が推奨されます。
成長とともに脱臼が慢性化していくケースは予防が大事になるため、フローリングのようなすべる場所で遊ばないようにしましょう。
痛みが出たり、違和感のために足を挙げる状態が変わらないようであれば手術を考慮します。けがや事故で脱臼するケースも予防が大事です。室内でソファやベッドから落下して脱臼してしまうことが多いため、そこに注意しましょう。
ほかの犬種では肥満がリスクになりますが、タイニープードルは肥満になることが少ないため、その点は問題ないでしょう。
外耳炎の予防と治療方法
外耳炎の原因となる病気を治療することが外耳炎の予防、かつ治療になります。耳垢が多いと外耳炎が悪化するため、まず外耳の洗浄を行います。そして、炎症を抑える薬を使います。
基本的には外用薬を使用しますが、家で飼い主さんがタイニープードルに点耳する薬や動物病院で1週間に1回点耳する薬などがあります。状態によっては内服薬を使用することもあります。
クッシング症候群の予防と治療方法
タイニープードルに多く見られるタイプは下垂体の腫瘍が原因であるため、予防は困難です。
しかし、症状が典型的なので、早期発見して早期治療することが大事です。腫瘍を切除する手術や小さくする放射線治療といった選択肢もありますが、実際は副腎のホルモン産生を抑える薬を使った内科治療を行うことが多いです。
タイニープードルのかかりやすい病気のまとめ
今回取り上げたタイニープードルがかかりやすい病気は、それぞれ特徴が異なりますが、どれも早期に発見して適切に治療すればきちんと治ったりコントロール可能なものばかりです。
反対に、病気であることに気付けるに時間が経ってしまうと、それだけ強いストレスを感じさせることになってしまいます。こういった病気の症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。
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