アビシニアンの子猫
目次

アビシニアンとソマリの概要

アビシニアンとソマリは外見も性格もよく似ていますが、被毛の長さが異なっています。そこで、まずアビシニアンとソマリがどんな猫なのかを見てみましょう。

アビシニアンとは

アビシニアンは、黄金に輝く美しい被毛と筋肉質でよく引き締まった細身のボディが特徴の短毛種です。自然発生の猫種であり、世界最古の家猫と言われています。

いつどこで生まれたのかははっきりとはわかっておらず、エジプト、エチオピア、イギリスなど、さまざまな説があります。一説には、19世紀後半、イギリス・エチオピア戦争に従軍していたイギリス兵が、エジプトから連れ帰ったと言われています。

ソマリとは

ソマリとは

ソマリは、突然変異的にアビシニアンから生まれた毛の長い猫を元に作られた長毛種です。セミロングの長さのやわらかな被毛と筋肉質でしなやかな体つきが特徴です。

また、ソマリは1950年ごろに生まれた比較的新しい猫種です。当初はアビシニアンの純血種を育てる障害になると考えられていて、ブリーダーに敬遠されていました。しかし、1963年、カナダで開催されたキャットショーに長毛のアビシニアンが出演したところ、一躍話題になり、やがて計画繁殖が始まりました。

そして、1960年代後半にはアメリカのキャットショーに登場するようになり、1980年代にはヨーロッパに渡り、1990年代には世界中に広がりました。

アビシニアンとソマリの違い

アビシニアンとソマリを比較すると主に以下の違いが確認できます。

外見

外見が似ているアビシニアンとソマリですが、写真を見比べると被毛のボリュームが違うことに気付きます。アビシニアンは短毛種ですが、ソマリは長毛種であり、被毛の長さが異なります。

毛が短く、さっぱりした印象のアビシニアンに対して、ソマリは毛にボリュームがあり、少しモコモコしていて大きく見えます。

被毛以外では頭と尾の印象が異なります。頭はどちらも丸みを帯びたくさび型ですが、アビシニアンのほうがあごが小さく、額から鼻筋にかけてやや盛り上がっています。

また、アビシニアンの尾は細くヒョロっとしていますが、ソマリの尾はブラシの毛ようにフワフワしていてボリューム感があります。

・アビシニアンは短毛種

アビシニアンは短毛種

・ソマリは長毛種

ソマリは長毛種

体重

アビシニアンとソマリは同じような体型をしていますが、成猫の平均体重にやや違いがあります。

アビシニアンの体重

オス 3.0~4.5kg
メス 2.5~3.5kg

ソマリの体重

オス 3.0~5kg
メス 2.5~4kg

性格

アビシニアンは、好奇心旺盛でどんなものにも興味を示す親しみやすい性格をしています。人に甘えるのが大好きで、生活環境が変わってもうまく適応することができます。

一方、ソマリは、よく人に懐き甘えん坊ですが、警戒心が強い一面があり、新しい環境に適応するのに時間がかかります。

アビシニアンとソマリの共通点

ソマリはアビシニアンから生まれた猫種であり、毛色や体型はほぼ同じです。

体型

アビシニアンとソマリの体型は細身のフォーリンタイプです。どちらも筋肉質でよく引き締まっていて、しなやかさがあります。

四肢

どちらも四肢が長くスラッとしていて筋肉質です。ソマリも四肢は毛のボリュームが控えめであり、見た目の印象に違いはありません。

性格

アビシニアンとソマリ共にやや神経質な一面があり、見知らぬ人には敏感に反応します。特に、ソマリは人見知りな性格で来客を怖がる傾向があります。

毛色

アビシニアンの毛色

アビシニアンとソマリの毛色は、「ルディ」「レッド」「ブルー」「フォーン」の4色が基本です。そのほかの毛色については一部の団体でのみ公認されています。

また、どちらも1本の毛に3~4色の濃淡が入る「ティッキング」が特徴で、きれいなグラデーションになっています。ティッキングは見る角度によってさまざまな輝きを放ちます。

アビシニアンの目

アビシニアンとソマリの目はそっくりです。どちらも大きなアーモンド型であり、まぶたは黒い毛でふち取られ、その周囲を明るい毛が取り囲んでいます。目の色はグリーン、ゴールドなどがあります。

よく目立つ大きな耳はアビシニアンもソマリも共通しています。どちらも付け根が広いカップ型で先が尖っています。

アビシニアンとソマリの見分け方

見分けるポイントは被毛の長さ

アビシニアンとソマリを見分けるなら被毛に注目しましょう。ソマリを一言で表すなら「アビシニアンの長毛種」であり、両者の違いは被毛の長さだけと言っても過言ではありません。

アビシニアンは短毛種の中では、やや被毛が長めですが、それでも長毛種ほどのボリューム感はなく、スリムな印象を与えます。

一方のソマリは毛の長さはセミロングであり、長毛種の中ではそれほど長いほうではありません。しかし、被毛がやわらかくフワフワしている影響で、ボリューム感があり実際の体型よりも大きく見えます。軽量なのに少しふくよかに見えるソマリはちょっぴりかわいそうです。

交配を繰り返すうちにソマリの毛は長くなった

毛が長くなったソマリ

ソマリは、アビシニアンから偶然生まれた毛の長い猫から作られた猫種です。とは言え、最初からソマリの毛が今の長さであったわけではありません。

ソマリの毛が今のように長くなったのは、ブリーダーがより毛の長いソマリと交配させた結果と言われています。両親が長毛であれば当然のように毛の長い猫が生まれます。

逆に毛を短くしたければ、アビシニアンと交配させて短毛のソマリを作ることも可能です。実際に、ソマリは一定の基準を満たすことを条件にアビシニアンとの交配が認められています。

被毛の長さは気候が影響している

アビシニアンは自然発生の猫種であり原産国は諸説ありますが、近年の研究ではインド洋沿岸地域から東南アジアの一部と推測されています。いずれの地域も熱帯、または亜熱帯の暑い気候であり、長い被毛では暑苦しく持て余します。アビシニアンの被毛が短いのは暑い気候に適応した結果と考えられています。

そんなアビシニアンは19世紀後半にイギリスに持ち込まれました。短い被毛のアビシニアンにとってイギリスはさぞ寒かったことでしょう。そこで今度は、逆に寒い気候に適応するため、毛を伸ばす必要がありました。このように、気候に適応しようとした結果として長毛のアビシニアンが生まれた可能性があります。

ソマリはイギリス発祥の猫種ですが、もし、アビシニアンと同じように暑い地域で生まれたなら、今よりも被毛は短かったことでしょう。

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