メインクーンのかかりやすい病気

メインクーンはがっちりとした骨格に広い胸幅をもち、とても体の大きい猫です。猫の中でも知性が高く、人間のすることに興味をもったり、投げたボールを取って来たりなど犬のような訓練ができるほどです。

本記事では、そんなメインクーンのかかりやすい病気について解説していきます。

メインクーンのかかりやすい病気の傾向

メインクーンには、ほかの猫種と比べて遺伝性疾患が多く見られます。

遺伝性疾患には予防法がない場合がほとんどなので、何か症状が出たときは速やかに動物病院を受診しましょう。また、両親に何か病気がないかを確認しておくのも大切です。

目次

メインクーンのかかりやすい病気の概要と症状

脊髄性筋萎縮症

「脊髄性筋萎縮症」とは、体幹や四肢の筋肉を動かす脊髄の神経が消失することによって発生する遺伝性疾患です。両親がこの病気をもっている場合、間に生まれたメインクーンにも100%発症します。発症時期は、3から4か月齢で短命につながる場合があります。

症状は、まず後肢に現れ、震え、ジャンプができなくなる、筋力の低下が見られます。

肥大型心筋症

メインクーンがなりやすい肥大型心筋症

メインクーン全体の約3割が「肥大型心筋症」を引き起こす遺伝子を有していると言われています。

肥大型心筋症は、心筋が厚く固くなり、内腔が狭くなる疾患です。心筋は厚くなると同時に硬くなるので、心臓が膨らまなくなります。心臓から拍出される血液の量が少なくなるので、循環障害が起こります。また、心臓内で血液の乱流が起こるために、血栓が形成されやすくなります。

症状としては、元気や食欲の低下、疲れやすくなる(運動不耐性)が見られます。また、心臓内に形成された血栓は、血流に乗って大腿動脈の分岐部に詰まることがあります。これを「動脈血栓塞栓症」と言います。

愛猫のメインクーンがの後ろ足が急に動かなくなる、後ろ足を触ると痛がる、後ろ足が冷たくなるなどが見られた場合は要注意です。

この病気にかかると、心臓から拍出される血液の量が少なくなり、血液のうっ滞(うったい:血流が静脈内で停滞すること)といった循環障害が起こります。また、心臓内で血液の乱流が起こるために、血栓が形成されやすくなります。

症状としては、元気や食欲の低下、疲れやすくなる(運動不耐性)、胸水や腹水の貯留、呼吸促拍(呼吸の深さと数が異常に増すこと)、頻脈(心拍数が増加している状態)が見られます。

血栓は大動脈の血流に乗って、細くなっている大腿動脈の分岐部に詰まることがあります。これを動脈血栓塞栓症と言い、急に後ろ足が麻痺したり、冷えたり、痛みが発生したりといった症状が現れます。これらの症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診してください。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

メインクーンがなりやすいピルビン酸キナーゼ欠損症

「ピルビン酸キナーゼ欠損症」とは、赤血球に存在するピルビン酸キナーゼという酵素が、生まれつき欠損することで十分なエネルギーの産生ができなくなり、赤血球の寿命が短くなる疾患です。血管内で赤血球が壊れていくので、慢性的な貧血に陥ります。

ピルビン酸キナーゼ欠損症の症状は、耳や歯茎といった粘膜が青白くなる、すぐに疲れる、呼吸が速いといったものが見られます。

股関節形成不全

「股関節形成不全」とは、太ももの骨(大腿骨)と骨盤をつなぐ股関節の形態が先天的に異常な状態です。猫ではあまり聞きませんが、メインクーンは遺伝的に股関節形成不全が起こりやすいと言われています。

股関節形成不全の症状は、運動を嫌う、歩行時の腰の揺れ、股関節の脱臼です。

進行性網膜萎縮

「進行性網膜萎縮」とは、目の奥にある網膜が徐々に変性や萎縮してしまい、光や色に対する感受性が低下する疾患です。

網膜が萎縮してしまうと、眼底部から水晶体への栄養、および酸素供給が減少し、白内障を起こしやすくなります。

進行性網膜萎縮の症状は、まずは夜間に見えづらい(夜盲)が現れます。進行してくると、日中でも目が見えなくなり夜間と同様の視力の低下が起こります。

飼っているメインクーンが部屋を歩いて家具や物にぶつかる、ふらつくなどの動きが見られたら、視力低下が進行しているのかもしれません。

メインクーンのかかりやすい病気の治療と予防

脊髄性筋萎縮症の治療と予防

脊髄性筋萎縮症の治療と予防

脊髄性筋萎縮症の予防法は、まだ確立されていません。この疾患をもっている子を繁殖に用いないことで次世代の子の発症を防ぐことが可能です。

また、脊髄性筋萎縮症の有効な治療法についても残念ながらありません。室内の段差や家具の位置には気を配ってあげましょう。

肥大型心筋症の治療と予防

肥大型心筋症の予防法は確立されていません。聴診によって雑音が聴取されることがあるので、定期的な検診が早期発見に役立ちます。早期の治療が行えれば、投薬によってコントロールが可能な疾患です。

肥大型心筋症の治療は、血管拡張薬によって心臓の負担を軽減します。また、血栓形成を抑止するために、血液抗凝固薬も併せて用います。

動脈血栓塞栓症が起きている場合は、血栓溶解薬によって速やかに血栓を溶かす必要があります。一時的とはいえ、血液の供給が遮断されていた末端の組織は、少なからず細胞の壊死を起こしています。血栓が解けて血液の流れが再開されたとき、壊死した細胞由来の毒素が一気に体内を循環することがあります。この再還流障害には十分注意が必要ですので、血栓の溶解も慎重に行っていきます。

ピルビン酸キナーゼ欠損症の治療と予防

軽度の貧血の場合は、運動の制限や輸血を行います。重度の場合は、異常な赤血球を処理する臓器である脾臓を摘出し、赤血球の減少を抑えることがあります。しかし、命に関わる重篤な貧血に陥ることは多くありません。

なお、ピルビン酸キナーゼ欠損症は遺伝性疾患なので、予防法は確立されていません。しかし、環境やストレスが発症の要因となっている可能性が報告されています。運動不足などのストレスを軽減することが予防につながるかもしれません。

股関節形成不全の治療と予防

まだ成長期で、股関節形成不全の症状が軽度であれば、安静療法によって股関節の正常な形成を待ちます。痛みが現れている場合は、鎮痛薬や抗炎症薬によって痛みをコントロールします。

それでも痛みが消えない、あるいは形態的に股関節の異常が重度と判断された場合は、外科手術によって骨切りや人工関節の設置を行います。

肥満は、股関節に不要な負担をかける要因になるので注意が必要です。また、成長期に股関節に無理な力をかけたり、過度の運動をさせることは避けましょう。

進行性網膜萎縮の治療と予防

進行性網膜萎縮の治療と予防

進行性網膜萎縮の治療や予防法は確立されていません。しかし、命に関わる疾患ではなく、徐々に進行する病気であるため、家具の位置を覚えている室内などでは問題なく元気に過ごす子も多いです。

視力低下の兆候が確認出来たなら、生活環境を極力変えずに生活してあげましょう。

メインクーンのかかりやすい病気のまとめ

メインクーンは、大きくて力強いので人気の猫種です。しかしながら、遺伝性疾患の発症リスクが高い猫種であることも頭に入れておいてください。

一般にメインクーンは短命と言われますが、それは間違いです。病気にさえ注意すれば、長生きする子もいます。そのためにも、病気の早期発見を心がけたいですね。

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