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チンチラペルシャのかかりやすい病気とその予防、治療方法【獣医師が執筆】

チンチラペルシャは、ペルシャの一種で、その大きな違いは被毛の色合いと目の色が緑、または青系統であること、アイラインがよりくっきりと描かれていることなどが挙げられます。

また、チンチラペルシャは、ペルシャ同様に、短めの足、丸い大きな目と低い鼻、厚くて長い被毛といった特徴がありますが、こうしたことからかりやすい病気があります。

本稿では、チンチラペルシャのかかりやすい病気の症状、治療、予防について解説します。

チンチラペルシャのかかりやすい病気の傾向

チンチラペルシャのかかりやすい病気の傾向として、特に遺伝性の腎泌尿器系疾患が目立ちます。また、大きな目をしているため眼疾患や、被毛が長いことによる疾患も多いとされています。

チンチラペルシャのかかりやすい病気の概要と症状

多発性嚢胞腎

「多発性嚢胞腎」は、腎臓に嚢胞(液体の入った小さな袋)ができてしまう遺伝性疾患です。嚢胞は年齢とともに大きくなり、数も増えます。その結果、腎不全となります。症状は腎不全と同様で、元気・食欲の低下、嘔吐、多飲多尿が見られます。

尿石症(シュウ酸カルシウム)

チンチラペルシャのかかりやすい病気「多発性嚢胞腎」「尿石症」
「尿石症」は、尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のいずれかに結石が形成される疾患です。チンチラペルシャでは特にシュウ酸カルシウムという成分の結石ができやすいと言われています。

結石が形成される部位によって症状は異なりますが、頻尿、血尿、排尿困難が多く見られます。結石が尿管や尿道に閉塞すると、排尿が見られなくなり、急性腎不全となります。

眼瞼内反症

「眼瞼内反症」とは、まぶた(眼瞼)が内側に反転し、まぶたの縁や睫毛が角膜を障害する疾患です。症状は程度によってさまざまですが、目のかゆみや痛みを引き起こします。重度となると、角膜潰瘍を続発します。

毛球症

猫はきれい好きでデリケートな動物です。そのため、グルーミング(毛づくろい)を行います。チンチラペルシャは長毛が特徴ですが、グルーミングの際に被毛を飲み込んでしまい、それが胃の中や腸の中で絡み合って球状になります。この毛球が腸管に詰まってしまう疾患を「毛球症」と言います。毛玉を上手に吐けない猫は腸管閉塞に陥るリスクが高まります。症状は、嘔吐、排便困難、元気・食欲の低下です。

肥大型心筋症

チンチラペルシャのかかやすい病気「肥大型心筋症」「毛球症」

「肥大型心筋症」とは、心臓を構成する心筋が厚く固くなり、心臓の拡張障害を引き起こす疾患です。心臓から送り出される血液の量が少なくなることで循環障害が起こります。また、心臓内で血液の乱流が起こり、血栓が形成されやすくなります。

症状は、疲れやすくなる(運動不耐性)、呼吸が速くなるなどが挙げられます。血栓が動脈内に詰まると、動脈血栓塞栓症を引き起こします。これは大腿動脈の分岐部で起こりやすく、突然の後肢麻痺、後肢の痛み、後肢の冷感が見られます。

チンチラペルシャのかかりやすい病気の予防と治療

多発性嚢胞腎の予防と治療

チンチラペルシャのかかりやすい病気「多発性嚢胞腎」「尿石症」の予防と治療
両親のいずれかが多発性嚢胞腎を発症していると、その子も約50%の割合で発症すると言われています。遺伝病ですので、残念ながら予防法はありません。そのため、両親の既往歴を確認しておくといいかもしれません。また、普段から飲水量や尿量をチェックし、腎不全の兆候がないかを確認することも非常に重要です。

多発性嚢胞腎に対する有効な治療方法はなく、腎不全に準じます。その治療法は、脱水の補正や体内に溜まった毒素を排出するために、輸液療法で尿量を増やします。高血圧の是正のためには血管拡張薬の投与を、消化器症状があるなら対症療法を行うこともあります。

尿石症(シュウ酸カルシウム)の予防と治療

尿石症の予防は、食事中のミネラルバランスに気を付けましょう。煮干しを始めカルシウムの多いおやつの摂取は控えた方がいいでしょう。

シュウ酸カルシウムは療法食では溶けない結石です。そのため、尿石症(シュウ酸カルシウム)の治療は、外科手術で結石を摘出することになります。膀胱炎の症状が見られる場合は、抗炎症薬や抗菌薬を用います。

眼瞼内反症の予防と治療

チンチラペルシャのかかりやすい病気「眼瞼内反症」の予防と治療
眼瞼内反症は遺伝的な発生が多く、予防法はありません。涙が多いといった目の異常に気付いたら動物病院を受診してください。

症状が軽度の場合は、抗炎症薬や抗菌薬の点眼を行います。再発を繰り返したり、症状が重度の場合は、外科手術によって内側に反転している眼瞼を整復します。

毛球症の予防と治療

毛球症の予防は、毛玉コントロール用の食事にしたり、毛玉用のサプリメントを服用することです。

治療法としては、毛球が胃内に存在している場合、毛玉を溶かすサプリメントを使用します。腸管閉塞を起こした場合は、緊急に外科手術が必要です。腸管を切開して、詰まった毛球や壊死した腸管の一部を取り除きます。

肥大型心筋症の予防と治療

肥大型心筋症は、遺伝性の発生が多く、その場合の予防法はありません。動脈血栓塞栓症の場合、後肢麻痺の後遺症と治療までの時間に相関があるので、愛猫のチンチラペルシャが突然立てなくなって、ニャーニャー鳴くようになったらすぐに病院に行きましょう。

治療は、血管拡張薬を用いて心臓の負担を下げると同時に、血栓形成の抑制のために血液抗凝固薬を投与します。動脈血栓塞栓症の場合は、速やかに血液溶解薬を用いて血栓を溶かします。その際、血液供給が止まっていたことで壊死した末端組織の毒素が、急激に体内を巡る再灌流障害に十分に注意します。

猫の肥大型心筋症はタウリンの不足と関係があると言われており、食事に添加することで栄養性による発生の予防が可能です。

チンチラペルシャのかかりやすい病気のまとめ

見た目が特徴的なチンチラペルシャですが、目立つ体の部位には病気が発生しやすいものです。また、性格は大人しいので、体の不調を訴えるころには重症化しているケースが少なくありません。そのため、日常的なチェックにより病気の早期発見を心がけましょう。

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